ペソ、7カ月間で4%下落、7月24日に史上最安値更新

中東紛争や国内政局不安など響く、下落基調続く懸念も

2026/08/03

 フィリピン銀行協会(BAP)のペソ対米ドル為替データによると、20267月の最終営業日(31)のペソ対米ドルレート終値は1米ドル=61.240ペソで、前月末から0.120ペソ、率にして0.20%続伸した。

 7月の終値ベースで最もペソ高となったのは31日の1米ドル=61.240ペソ。最もペソ安となったのは、724日の61.847ペソで過去最安値を更新した。取引時間中(ザラバ)の瞬間値ベースでの最安値も同日の1米ドル=61.850ペソで史上最安値を更新した。また、加重平均ベースでも同日に61.841ペソとなり過去最安値を更新した。ただ、月末にかけては、米国の金利据え置き観測が強まり、実際据え置かれたことでペソは低水準ながら反発、月間では上記のように小幅続伸となった。

 2026年年初7カ月では、終値ベースで4.00%のペソ安となった。7カ月間における終値ベースでのペソ高値は225日の1米ドル=57.510ペソ、上記のように安値は過去最安値である724日の1米ドル=61.847ペソ。

 米国イラン戦争やそれに伴う原油価格急上昇、安全資産としてのドル買い、国内でのインフレ再急騰、景気急鈍化、対外収支悪化などによりペソ安基調が続いている。国内政治の不透明感も下落要因となっている。マルコス大統領陣営とサラ・ドゥテルテ副大統領陣営の対立が深まり、副大統領の弾劾裁判が進むなか、経済改革や予算執行の遅れ、2028年大統領選後の政策継続性を懸念する見方が浮上。こうした政治リスクが外国人投資家の投資意欲を冷やし、ペソへの下落圧力を強めたとみられる。

 7月間のペソは、ASEAN主要通貨の中でインドネシア・ルピアの約7%超下落、タイ・バーツの約6%下落に次ぐ大きな下落率となっている。海外就労者(OFW)からの送金やBPO産業の外貨収入がペソを下支えしているものの、原油価格、対外収支、国内のインフレ、海外資金の動向、政治情勢が引き続き相場を左右するとみられる。中央銀行(BSP)の市場介入にも限界があることから、62ペソ台への下落、年間ベースで3年連続の下落の可能性も考えられる。

 ペソ対米ドルレートの動き(年末値/月末値)
時期 年末・月末値 上昇率
2017年 49.930ペソ -0.42%
2018年 52.580ペソ -5.04%
2019年 50.635ペソ 3.84%
2020年 48.023ペソ 5.44%
2021年 50.999ペソ -5.84%
2022年 55.755ペソ -8.53%
2023年 55.370ペソ 0.70%
2024年 57.845ペソ -4.28%
2025年 58.790ペソ -1.61%
2026年 1月末 58.860ペソ -0.12%
2月末 57.665ペソ 2.07%
3月末 60.748ペソ -5.08%
4月末 61.485ペソ -1.20%
5月末 61.590ペソ -0.17%
6月末 61.360ペソ 0.37%
7月末 61.240ペソ 0.20%
1 - 7月 - -4.00%
(出所:フィリピン銀行協会資料より作成)

 PSE指数の推移