サンミゲルの売上GDPの5.3%に相当、比で断トツ

25年総収入1.5兆ペソの95%を関係者や社会等に還流

2026/07/07

 多角化を推進しフィリピン最大のコングロマリットとなったサンミゲル(証券コード:SMC)2025年の売上高(収入)14,853億ペソとフィリピン企業の中で断トツであり、表1のように、財閥系複合企業の中でも第2位のSMインベストメント(証券コード:SM)の約2.2倍に達している。

 SMC2025年の収入14,853億ペソは、2025年のフィリピンの名目国内総生産(GDP)28兆ペソの5.3%に相当する規模である。SMCはその収入の95%に相当する約14,300億ペソを、取引先、従業員、投資家、地域社会、政府などに還流した。

 還流額の内訳は、サプライヤーへの支払いや営業費用が9,950億ペソで、全国に広がるSMCのサプライチェーンを支え、取引先の事業継続や所得、雇用の創出に寄与した。税金など政府への納入は2,210億ペソで、公共サービスやインフラ、社会プログラムの財源に貢献。投資家や株主など資本提供者への支払いは1,530億ペソであった。このほか、従業員の給与・福利厚生に580億ペソ、地域開発プログラムに56,000万ペソを充てた。

 SMCのラモン・アン会長兼最高経営責任者(CEO)は、「サンミゲルの価値創造は財務業績にとどまらない。食品・飲料や電力、燃料、インフラなど日常生活に欠かせない製品やサービスを提供するだけでなく、より多くのフィリピン人に雇用と生活向上につながる機会を生み出すことが大きな使命だ」と強調した。

 SMCは、1890年に単一のビール醸造会社として創業、今年創業136周年を迎えた。その後、1913821日に法人化され、飲料、食品、包装材を中心とする企業から、石油、電力、インフラ、不動産などを幅広く手掛けるフィリピン最大級の複合企業へと成長した。

 現在の商品群は、ビール、蒸留酒、清涼飲料、鶏肉、飼料、小麦粉、生鮮・加工肉、乳製品、コーヒー、各種包装材、石油精製品、セメントなど多岐にわたる。消費財に加え、エネルギーや社会インフラなど、フィリピン経済を支える基幹分野にも事業領域を広げている。

 海外企業との戦略的提携も積極的に進めている。ビール事業ではキリン ホールディングス(キリン)、加工肉では米ホーメル フーズ・インターナショナル、電力事業では韓国水資源公社(Kウォーター)と提携。包装材事業では日本山村硝子や扶桑精工と協力関係を構築している。

 主要子会社には、食品・飲料部門のサンミゲルフード&・ビバレッジやその傘下のサンミゲルブリュワリー(サンミゲルビール)など、包装材のサンミゲル ヤマムラパッケージング、電力のサンミゲル グローバルパワー ホールディングス、石油関連のSEAリファイナリー、インフラ事業のサンミゲル ホールディングス、不動産のサンミゲル プロパティーズなどがある。キリンは、現在、サンミゲルビールに約48%出資している。

 このように創業から136年を迎えたSMCは、ビール会社を起点に事業の多角化を進め、現在ではフィリピンの消費、エネルギー、交通・インフラを幅広く支える企業グループとなっている。

 表1.財閥系複合企業の2025年の決算動向(単位:百万ペソ)
企業名 財閥・総帥名 収入 増減率 純利益 増減率 帰属純利益 増減率
サンミゲル サンミゲル 1,485,345 -6% 94,678 158% 41,291 黒字化
SMインベストメンツ SM 681,733 4% 123,772 8% 90,482 10%
JGサミット ゴコンウェイ 368,532 9% 52,224 -2% -88,343 赤字化
GTキャピタル メトロバンク 346,901 8% 43,084 15% 33,675 17%
アヤラコーポレーション アヤラ 336,886 3% 86,869 41% 61,428 46%
アボイティス エクイティ アボイティス 313,222 3% 30,600 -19% 18,305 1%
アライアンス グローバル アンドリュー・タン 180,273 -18% 30,603 10% 20,725 19%
LTグループ ルシオ・タン 132,778 3% 42,306 10% 30,976 7%
DMCIホールディングス コンスンヒ 108,653 6% 19,399 -30% 15,094 -21%
フィルインベスト デベロップ ゴティアヌン 107,740 6% 18,876 20% 15,008 24%
ロペス ホールディングス ロペス 84,719 8% 31,675 37% 12,054 90%
ハウス オブ インベストメンツ ユーチェンコ 43,674 12% 3,679 37% 2,142 56%
合計 4,190,456 0.1% 577,765 21% 252,837 -7%
(出所:各社の年次報告書などより作成、ハウス オブ インベストメンツにRCBC含まれず)

 表2.財閥系複合企業の2026年第1四半期の決算動向(単位:百万ペソ)
企業名 財閥・総帥名 収入 増減率 純利益 増減率 帰属純利益 増減率
サンミゲル サンミゲル 428,321 19% 22,465 -48% 7,559 -75%
SMインベストメンツ SM 159,405 5% 29,189 6% 21,513 7%
JGサミット ゴコンウェイ 99,883 7% 9,369 -17% 5,183 19%
アヤラコーポレーション アヤラ 81,658 1% 17,031 -4% 11,953 -5%
GTキャピタル メトロバンク 83,141 -7% 11,670 -6% 8,905 -3%
アボイティス エクイティ アボイティス 86,362 27% 10,910 83% 6,306 99%
アライアンス グローバル アンドリュー・タン 40,456 -19% 7,823 -29% 5,201 -38%
ロペス ホールディングス ロペス 24,249 27% 7,827 -8% 2,710 -1%
LTグループ ルシオ・タン 30,778 -1% 10,327 4% 7,487 3%
DMCIホールディングス コンスンヒ 31,100 -2% 6,215 -7% 4,869 -5%
フィルインベスト デベロップ ゴティアヌン 28,154 7% 4,803 7% 3,938 8%
ハウス オブ インベストメンツ ユーチェンコ 11,794 31% 1,173 8% 711 10%
合計 1,105,301 9% 138,802 -13% 86,335 -20%
 (出所:各社の四半期報告書などより作成)、ハウス オブ インベストメンツにRCBC含まれず)