PSE下半期に連続大型IPO予定、上半期のゼロから回復へ

2案件で最大1,165億ペソ、総調達額予想41%増の2千億ペソに

2026/07/06

 フィリピン証券取引所(PSE)において、上半期の新規公開(IPO)・新規上場案件はゼロであった。しかし、下半期には、モバイルマネー『GCash(Gキャッシュ)』を運営する「グローブ フィンテック イノベーションズ(Mynt=ミント、本社:マニラ首都タギグ市)」と、PLDT(TEL)系のデータセンター資産を裏付けとする不動産投資信託(REIT)である「VITRO REIT」という2件の大型IPOが実施される見込み。双方ともに有力通信企業の傘下であることが注目される。

 既報のとおり、Myntは最大923億ペソのIPOを計画しており、実現すれば2021年のモンデ ニッシンによる486億ペソを上回り、フィリピン史上最大のIPOとなる。一方、VITRO REITは最大242億ペソを調達し、国内初のデジタルインフラ不動産投資信託(REIT)となる見込み。

 両案件の最大調達額は合計1,165億ペソ。仮目論見書によると、VITRO REITの募集期間は925日~101日、Mynt1059日に予定されている。ただし、調達額や日程は今後変更される可能性がある。

 このような大型IPOが実施されそうなことから、PSEは、2026年の株式市場を通じた企業の資金調達額は、現時点で約2040億ペソに達するとの見通しを示した。年初に掲げた目標1,700億ペソを20%上回る水準であり、2025年の調達額1,4417,000万ペソからは41%の増加となる。

 2026年上半期のPSEでの調達額は約394億ペソにとどまった。IPOはゼロであり、2件の第三者割当増資と優先株の追加公募などによる。下半期には、上記の2件のIPOにくわえ、サンミゲル(SMC)による300億ペソ規模の優先株追加公募も予定されている。

 2027年については、SMCとメトロパシフィック インベストメンツ(MPIC)の有料道路事業統合が新たな大型資金調達につながる可能性がある。PSEのモンソン社長は、両社の経営陣から統合協議が進んでいると聞いているとした上で、「統合が実現すれば、市場で資金を調達することになるだろう」と期待を示した。また、PSEの上場支援制度「LEAP」を利用する4社が、2027年のIPOに向け準備を進めているとのことである。LEAPは、IPOを検討する企業に無料で助言や上場前評価、専門家の紹介などを行う制度である。

 フィリピン証券取引所(PSE)上場企業数などの推移
2019年 2020年 2021年 2022年 2023年 2024年 2025年 26年6カ月間
新規上場企業数 4 4 8 10 3 3 2 0
上場廃止企業数 2 1 3 0 6 3 3 1
期末上場企業数 268 271 276 286 283 283 282 281
(出所:PSE資料などより作成)