比で人気の抹茶ブランド「Chotto Matcha」、日本初上陸

農家支援を原点に、浅草で“現代的な抹茶文化”を発信

2025/12/16

 フィリピンのマニラで人気を集める抹茶カフェブランド「Chotto Matcha(ちょっと抹茶)」が、日本に初進出した。運営する株式会社MISAKU(本社・東京台東区)は、東京・浅草に旗艦店「Chotto Matcha Asakusa」を開業。フィリピン発の抹茶ブランドが逆上陸する初のケースとなる。

 同ブランドは、マニラ首都圏で3店舗を展開。現地のグルメサイトやテレビ番組でも紹介され、都市型ライフスタイルに溶け込む抹茶ブランドとして若者や観光客を中心に支持を広げてきた。浅草店は、今後の国内外展開を見据えた中核拠点に位置付けられる。

 Chotto Matchaの事業の出発点は、日本の一次産業が抱える構造課題だ。ブランドは、静岡県・富士山麓の小規模茶農家と直接連携し、抹茶を適正価格で流通させる仕組みづくりを重視してきた。後継者不足や価格競争が深刻化する茶産業に対し、小規模農家の安定した販路の確保、シングルオリジン抹茶の価値訴求、生産者の物語を海外市場に届けるブランディングをミッションに掲げる。

 共同創業者の妹・本橋岬氏は米カリフォルニア大学バークレー校を早期卒業後、シリコンバレーでスタートアップ文化に触れ、日本文化を「現代的な形」で世界に伝える必要性を実感。一方、姉の本橋桜氏は国内の茶産地で農家支援に携わる中で、つくり手の価値が十分に届かない現状を目の当たりにしてきた。両者の視点が交わり、「伝統を尊重しながら、世界の日常に溶け込む抹茶文化」を掲げるブランドが誕生した。

 フィリピンでは、リトルトーキョー・マカティ(2023)、フォーブスタウンBGC(20255)、パーク・トライアングルBGC(202512)3店舗を展開。抹茶を「特別な和文化」ではなく、「洗練された日常のドリンク」として再定義した点が支持を集めた。ミニマルなデザインや、カクテルとの相性を意識したメニュー構成が特徴で、抹茶カテゴリーの新たな定番ブランドとして存在感を高めている。

 浅草店では、フィリピンで人気のシグネチャー「ストロベリー抹茶ラテ」が日本初登場。濃厚に点てた抹茶といちごミルクを合わせた一杯は、現地でも看板商品である。このほか日本市場向けに、ダーティ抹茶ラテ(抹茶×エスプレッソ)、抹茶フライト(3種の飲み比べ)、季節限定の抹茶スイーツ、抹茶とアルコールを組み合わせたカクテルなど、多彩なメニューを用意。内装は和モダンを基調に、浅草の下町文化とフィリピン都市部の感性を融合させた空間とした。

<店舗概要>
・店名:Chotto Matcha Asakusa
・所在地:東京都台東区花川戸1-10-14(浅草寺から徒歩約5)
・営業時間:9:0021:00
・定休日:年中無休(年末年始除く)
・席数:25
・運営:株式会社MISAKU
・公式Instagram@chottomatchajp

 農家支援を基盤に生まれたフィリピン発の抹茶ブランドが、日本の伝統文化の地・浅草から、新しい抹茶の未来を描き始めた。