パナソニックのラグナ新工場、PEZA登録承認

投資額30億ペソ超、国内向け事業の競争力向上へ

2025/12/04

 フィリピン証券取引所(PSE)に上場しているパナソニック マニュファクチャリング フィリピン(証券コード:PMPC、会計期末3)は、1127日、ラグナ州サンタロサ市のラグナテクノパークで進める新規プロジェクトについて、フィリピン経済区庁(PEZA)からドメスティック・マーケット事業としての登録を承認されたと発表した。

 今回の登録により、PMPCは改正投資優遇制度「CREATE MORE(共和国法12066)」に基づく一連の財政・非財政インセンティブを活用できるようになる。対象となるのは、扇風機、洗濯機、冷蔵庫の製造事業で、PEZAへの規制開示によれば、5年間の法人税免除(ITH)10年間の優遇控除制度(法人税率20)、さらに15年間の設備・原材料・付属部品の関税免除が付与される。PMPCは「今回の登録は、国内市場向け事業におけるコスト低減と競争力の向上につながる」と強調した。

 PMPC202312月にラグナ・テクノパーク内の工場が全焼したことを受け、20246月に新工場棟の建設計画を公表、202510月の着工、2年後に完工予定と表明。投資額は30億ペソと報じられている。PMPCは日本のパナソニック ホールディングス(パナソニック)の子会社で、家電・電子機器の製造、輸入、販売を手掛ける。フィリピン国内の家電市場で高い存在感を持つPMPCは、今回の投資優遇活用により、供給能力強化とコスト競争力の両立を図る方針である。

 PMPCの起源は、19635月に設立されたフェスティバル・マニュファクチャリング(FMC)であり、このほど創業62周年を迎えた。FMCは、1965年、プレシジョン・エレクトロニクス(PEC)と社名変更した。このPECと松下電器産業(MEI、社名は当時)1967年にフィリピンで合弁家電企業を設立した。当初の合弁企業名はPECだったが、25年後の1992年にマツシタ・エレクトリック・フィリピン(MEPCO)と変更された。さらに、2005年に現社名PMPCへと再変更された。

 19831月に、フィリピン証券取引所(PSE)に上場された。すなわち、1月にPSE上場42周年を迎えた。現在、PMPCは額面1ペソの普通株式を約42,272万株発行している。そのうち、フィリピン人のみが投資可能なA株約8,472万株が上場されている。浮動株比率は14.93%、日本のパソニック本社のPMPC保有比率は20259月末時点で79.96%である。パナソニック本社の保有するのはPMPCB株である。なお、PMPCの業績は下表のとおり堅調に推移している。

 1.パナソニック マニュファクチャリング フィリピンの上半期業績推移(単位:万ペソ)
項目 22年度H1 23年度H1 24年度H1 25年度H1 増減率
売上高 744,025 695,749 829,924 835,540 0.7%
粗利益 92,982 105,133 124,423 148,424 19.3%
税引前利益 3,162 14,541 19,760 69,614 252.3%
所得税費用 2,724 4,742 4,443 15,050 238.7%
純利益 437 9,799 15,318 54,564 326.1%
(出所:PMPC事業報告書などより作成)

 2.パナソニック・マニュファクチャリング・フィリピンの年間業績推移(単位:万ペソ)
項目 2021年度 2022年度 2023年度 2024年度 増減率
売上高 1,259,053 1,517,832 1,425,125 1,690,205 +18.6%
粗利益 250,411 253,339 269,559 317,305 +17.7%
税引前利益 20,184 25,589 33,642 73,295 +117.9%
所得税費用 7,793 5,876 6,392 21,140 +230.7%
純利益 12,392 19,713 27,250 52,155 +91.4%
(出所:PMPCの年次報告書などより作成)