10月の失業率5.0%、コロナ後2番目の高水準
悪天候や汚職騒動響く、失業者29%増の254万人
2025/12/11
フィリピン統計庁(PSA)は、12月10日、2025年10月の労働力調査結果(速報値)を発表した。それによると、2025年10月の失業率は5.0%となり、前年同月の3.9%、前月の3.8%から急悪化、今年7月に記録した新型コロナ禍後の最悪記録5.3%に次ぐ高水準となった。
例年10月は年末年始商戦に向けての雇用拡大で失業率は低下傾向となりがちであるが、2025年は台風連続襲来、治水事業での悪質な汚職騒動による投資や消費意欲の減退に伴う景気鈍化が響いたようだ。
2025年10月の15歳以上の人口は前年同月比1.6%増の8,049万人、労働力人口は同2.1%増の5,116万人。労働参加率は63.6%で、前年同月(63.3%)を上回った。
10月の失業者数は254万人で、前年同月(197万人)から29.3%増加した。失業者を年齢層でみると、15歳-24歳が全体の35.2%、25歳-34歳が36.8%、すなわち若年層(15歳~34歳)が全体の72%を占めた。学歴別では、中学校進学・卒業者の割合は30.1%(卒業者は21.5%)、大学進学・卒業者が43.3%(卒業者は33.2%)だった。性別では、男性58.7%、女性41.3%と男性が上回っている。
就業者数は前年同月比1.0%増の4,862万人。業種別では、農業部門が21.5%(前年同月21.2%)、鉱工業部門が17.9%(同17.9%)、サービス部門が60.6%(同61.0%)だった。サブセクター別で雇用者数が最も多かった上位3セクターは、卸売・小売業(自動車・オートバイ修理業含む)、農林業、建設業。また、年間の雇用者増加の多かった上位5業種は、行政・国防・義務的社会保障事業、宿泊・飲食サービス業、農林業、製造業、水産・養殖業。一方、年間で最も減少した上位5業種は、その他サービス業、卸売・小売業(自動車・オートバイ修理業含む)、専門・科学・技術業務、鉱業・採石業、上下水道廃棄物管理・浄化活動。
賃金・給与労働者は就業者全体の64.2%(前年同月63.8%)、従業員を雇用していない個人事業主は27.5%(同27.7%)、無給の家族労働者は6.3%(同5.9%)、家族経営の農場または事業に従事する雇用主は2.0%(同2.6%)だった。賃金・給与労働者の中で民間企業労働者の占める割合は80.0%(就業者全体では51.4%)、政府系企業社員・公務員は14.8%(同9.5%)だった。10月の週平均労働時間は41.3時間(前年同月41.0時間)。フルタイム就業者(週40時間以上勤務)は就業者全体の69.5%(同69.0%)だった。
就業者4,862万人のうち不完全就業者(職に就いているが調査期間中に働いていなかったり、労働時間が報告されていない就業者)の数は前年同月比4.5%減の581万人。不完全就業率は12.0%で前年同月(12.6%)を下回った。なお、不完全就労者の54.3%(前年同月55.3%)が労働時間週40時間以下だった。
フィリピン労働力調査(LFS)
(出所:フィリピン統計庁資料より作成、2024年10月以外は速報値)
フィリピンの失業率等の推移(単位:%)
(出所:PSA資料より作成、24-25年は速報値)
10月の地域別就業率・失業率の比較 (単位:人口千人、率%)
(出所:PSA資料より作成、25年は速報値)
例年10月は年末年始商戦に向けての雇用拡大で失業率は低下傾向となりがちであるが、2025年は台風連続襲来、治水事業での悪質な汚職騒動による投資や消費意欲の減退に伴う景気鈍化が響いたようだ。
2025年10月の15歳以上の人口は前年同月比1.6%増の8,049万人、労働力人口は同2.1%増の5,116万人。労働参加率は63.6%で、前年同月(63.3%)を上回った。
10月の失業者数は254万人で、前年同月(197万人)から29.3%増加した。失業者を年齢層でみると、15歳-24歳が全体の35.2%、25歳-34歳が36.8%、すなわち若年層(15歳~34歳)が全体の72%を占めた。学歴別では、中学校進学・卒業者の割合は30.1%(卒業者は21.5%)、大学進学・卒業者が43.3%(卒業者は33.2%)だった。性別では、男性58.7%、女性41.3%と男性が上回っている。
就業者数は前年同月比1.0%増の4,862万人。業種別では、農業部門が21.5%(前年同月21.2%)、鉱工業部門が17.9%(同17.9%)、サービス部門が60.6%(同61.0%)だった。サブセクター別で雇用者数が最も多かった上位3セクターは、卸売・小売業(自動車・オートバイ修理業含む)、農林業、建設業。また、年間の雇用者増加の多かった上位5業種は、行政・国防・義務的社会保障事業、宿泊・飲食サービス業、農林業、製造業、水産・養殖業。一方、年間で最も減少した上位5業種は、その他サービス業、卸売・小売業(自動車・オートバイ修理業含む)、専門・科学・技術業務、鉱業・採石業、上下水道廃棄物管理・浄化活動。
賃金・給与労働者は就業者全体の64.2%(前年同月63.8%)、従業員を雇用していない個人事業主は27.5%(同27.7%)、無給の家族労働者は6.3%(同5.9%)、家族経営の農場または事業に従事する雇用主は2.0%(同2.6%)だった。賃金・給与労働者の中で民間企業労働者の占める割合は80.0%(就業者全体では51.4%)、政府系企業社員・公務員は14.8%(同9.5%)だった。10月の週平均労働時間は41.3時間(前年同月41.0時間)。フルタイム就業者(週40時間以上勤務)は就業者全体の69.5%(同69.0%)だった。
就業者4,862万人のうち不完全就業者(職に就いているが調査期間中に働いていなかったり、労働時間が報告されていない就業者)の数は前年同月比4.5%減の581万人。不完全就業率は12.0%で前年同月(12.6%)を下回った。なお、不完全就労者の54.3%(前年同月55.3%)が労働時間週40時間以下だった。
フィリピン労働力調査(LFS)
| 項目 | 24年10月 | 25年9月 | 25年10月 |
| 15歳以上人口(単位:千人) | 79,220 | 79,983 | 80,492 |
| 労働力参加率(%) | 63.3 | 64.5 | 63.6 |
| 失業率(%) | 3.9 | 3.8 | 5.0 |
| 不完全就業率(%) | 12.6 | 11.1 | 12.0 |
| 週平均労働時間(h) | 41.0 | 40.5 | 41.3 |
フィリピンの失業率等の推移(単位:%)
| 全国 | 労働参加率 | 失業率 | 不完全就業率 |
| 2019年 | 61.3 | 5.1 | 13.8 |
| 2020年 | 59.5 | 10.3 | 16.2 |
| 2021年 | 63.3 | 7.8 | 15.9 |
| 2022年 | 64.7 | 5.4 | 14.2 |
| 2023年 | 64.9 | 4.4 | 12.3 |
| 2024年 | 64.4 | 3.8 | 11.9 |
| 2025年 1月 | 63.9 | 4.3 | 13.3 |
| 2月 | 64.5 | 3.8 | 10.1 |
| 3月 | 62.9 | 3.9 | 13.4 |
| 4月 | 63.7 | 4.1 | 14.6 |
| 5月 | 65.8 | 3.9 | 13.1 |
| 6月 | 65.7 | 3.7 | 11.4 |
| 7月 | 60.7 | 5.3 | 14.8 |
| 8月 | 65.1 | 3.9 | 10.7 |
| 9月 | 64.5 | 3.8 | 11.1 |
| 10月 | 63.6 | 5.0 | 12.0 |
| 2025年1-10月 | 64.0 | 4.2 | 12.4 |
10月の地域別就業率・失業率の比較 (単位:人口千人、率%)
| 地域 | 15歳以上の人口 | 労働参加率 | 失業率 | 不完全就業率 | ||||
| 24年 | 25年 | 24年 | 25年 | 24年 | 25年 | 24年 | 25年 | |
| フィリピン全体 | 79,220 | 80,492 | 63.3 | 63.6 | 3.9 | 5.0 | 12.6 | 12.0 |
| 首都圏 | 10,506 | 10,627 | 62.3 | 63.2 | 5.2 | 5.7 | 6.9 | 6.4 |
| CAR | 1,295 | 1,308 | 63.5 | 64.7 | 2.3 | 3.7 | 15.3 | 12.5 |
| 1-イロコス | 3,706 | 3,750 | 61.8 | 64.5 | 3.3 | 4.4 | 6.3 | 8.1 |
| 2-カガヤンバレー | 2,573 | 2,599 | 64.7 | 64.5 | 3.0 | 4.1 | 20.8 | 15.8 |
| 3-中央ルソン | 9,444 | 9,609 | 61.8 | 62.8 | 2.9 | 4.4 | 7.6 | 9.2 |
| 4A-カラバルソン | 12,152 | 12,488 | 62.0 | 62.5 | 5.7 | 6.4 | 14.2 | 11.5 |
| 4B-ミマロパ | 2,152 | 2,183 | 63.4 | 63.5 | 4.4 | 4.8 | 21.0 | 22.7 |
| 5-ビコール | 4,197 | 4,263 | 58.5 | 59.5 | 5.6 | 6.2 | 18.0 | 21.4 |
| 6-西ビサヤ | 3,406 | 3,447 | 62.2 | 62.7 | 4.9 | 5.4 | 15.7 | 16.3 |
| ネグロス諸島(NIR) | 3,353 | 3,373 | 66.9 | 64.3 | 2.7 | 4.1 | 6.0 | 8.0 |
| 7-中央ビサヤ | 4,723 | 4,791 | 63.0 | 64.1 | 3.1 | 3.8 | 7.2 | 11.0 |
| 8-東ビサヤ | 3,355 | 3,404 | 63.6 | 59.4 | 3.1 | 6.1 | 12.6 | 14.0 |
| 9-サンボアンガ半島 | 2,660 | 2,688 | 61.6 | 61.0 | 2.4 | 6.1 | 13.7 | 15.6 |
| 10-北ミンダナオ | 3,650 | 3,689 | 64.0 | 64.1 | 4.0 | 4.6 | 20.1 | 16.3 |
| 11-ダバオ地域 | 3,867 | 3,928 | 63.7 | 64.9 | 2.5 | 3.3 | 4.3 | 3.9 |
| 12-ソックサルジェン | 3,093 | 3,152 | 69.7 | 69.0 | 2.4 | 3.2 | 35.3 | 24.5 |
| カラガ | 1,905 | 1,929 | 69.2 | 67.9 | 2.8 | 4.2 | 13.1 | 13.9 |
| BARMM | 3,182 | 3,263 | 70.1 | 69.6 | 3.5 | 4.6 | 15.4 | 9.1 |




