デルモンテ・パシフィック、上半期実質2.2倍増益に

2016/12/08

比のパイナップル缶詰シェア85%、トマトソースは84%
優先株3.6億ドル発行、比初のドル建て証券上場へ


デルモンテ・パシフィック(DELPA、設立地:英領バージン諸島、会計期末:4月30日)が、12月7日、2017年度(2016年5月~2017年4月)上半期(2016年5月~10月)の決算発表を行った。

 DELPAは2014年2月に、米国での大型買収を完了した。具体的には、米国子会社を通じて、米国のデルモンテ・フーズ(DMF、会計期末:4月30 日)から、米国の果物・野菜缶詰事業(DMFI)を16億7,500万米ドルで買収したのである。これには、デルモンテ米国ブランドの取得も含まれる。す なわち、米国で本家であるDMFから消費者ビジネスを取得、本格展開を開始したのである。そして、世界的な食品・飲料企業へと躍り出たことになる。

 DELPAの2017年度上半期の売上高は前年度同期比3.8.%減の11億0,170万米ドルにとどまった。フィリピン等アジア・パシフィック地域事 業は同16.5%増収と好調であったが、買収したDMFIの売上高が同8%減と低調であった。
 
 減収となったものの、経常的EBITDA(利払い・税金・償却前利益)は同10%増の9,510米万ドル、経常的営業利益は同15%増の6,100万米 ドルと各々二桁増加した。最終帰属損益は同69.1%減の1,140万米ドルと大幅減少となったが、前年同期にはDMFI年金基金改組に伴う特別利益 3,040万米ドルが計上されていた。このような一時的損益を除いたコア純利益は同119%増(約2.2倍)の1,510万米ドルであった。すなわち、実 質2.2倍増益決算であったといえる。

 DELPAは、子会社デルモンテ・フィリピンを通じて、世界最大のパイナップル事業を営んでいる。フィリピンに2万3,000ヘクタールのパイナップ ル・プランテーションや75万トンの加工施設を有している。かつてはサンミゲルによって所有されていたが、2007年にカンポス・ファミリーに売却された という経緯がある。現在もカンポス・ファミリーが支配している。
 
 DELPAのフィリピン市場シェアは、パイナップル缶詰が85%、ミックスフルーツ缶詰が75%、トマトソースが84%、スパゲティー・ソースが51%など高水準である。

 このDELPAは、2013年6月20日にPSEに新規上場された。DELPAは既にシンガポール証券取引所に上場されており、PSEとシンガポール証券取引所との並行上場企業となっている。

 DELPAは、借り入れた買収資金の返済原資調達(リファイナンス)の一環として、永久優先株(1株当たり額面は1米ドル)を3,600万株発行する計 画である。1株当たり発行価格は最高で10米ドルと想定されており、調達額は最高で3億6,000万米ドルとなる。

 この優先株は、累積型の無議決権・非参加・非転換優先株であり、フィリピン証券取引所(PSE)に上場させる計画である。すでに、証券取引委員会 (SEC)や中央銀行(BSP)から発行承認を得ており、PSEによる上場承認を待っているところである。承認されれは、PSEにおけるドル建て証券上場 第1号となる(16年12月7日のフィリピン証券取引所回覧06807-2016号などより)。