続報:丸紅、バタンガス州火力発電所に出資

2016/12/21

フィリピンでの発電事業基盤を一段と拡充

 丸紅は、海外電力事業を戦略分野の一つに掲げており、強固な基盤を増強すべくグローバルポートフォリオの拡大を図っている。日本の商社中トップクラスを誇る発電容量は、海外ネット持分容量10,273MW(2016年3月末現在)を保有。欧米の一流IPP事業者に比肩するレベルへの拡大を目指している。

 丸紅は、フィリピンにおいても強大な電力事業基盤を構築し、フィリピン発電業界において中心的存在となっている。特に、東京電力との折半合弁企業「チーム・エナジー」(TEC)が2006年12月、米国ミラント社からルソン地域で稼働中のパグビラオ石炭火力発電所(735MW)、スアル石炭火力発電所(1,218MW)の全ての権益、ならびにイリハンガス火力発電所(1,251MW)の20%の権益(250MW)を買収し、発電能力を一気に2,203MW増加させた。

 このような経緯を経て、紅は、フィリピンの発電設備総容量の約2割相当分(約4,000MW)の発電事業に出資参画するに至っている。現在も、現地のアボイティス・グループと共同でパグビラオ発電所の既設敷地内に400MWの石炭火力発電所を増設中で、2017年度の商業運転開始を予定している。

 さらに、丸紅は12月20日、「フィリピン・バタンガス州カラカ地区においてPuting Bato火力発電所(プティンバト火力発電所)の運営に参画する。プティンバト発電所を保有するサウスルソン・サーマル・エナジー社(SLTEC)の株式20%を12月20日付にて取得した」と発表した。

 プティンバト火力発電所は、発電容量270MW(135MW x 2基)で、2015年4月に商業運転を開始している。丸紅のフィリピンにおける長年の電力事業での実績・知見が、SLTECに共同出資するフィリピン大手コングロマリットであるPHINMA(フィンマ)グループ傘下で電力・エネルギー事業を手掛けるフィンマ・エナジー社、及びフィリピン最大級のコングロマリットであるアヤラ・グループ傘下のAC エナジーホールディングス社に評価され、今回の参画に至った。丸紅の出資により、持分比率は丸紅20%、フィンマ・エナジー社45%、AC エナジーホールディングス社35%となった。

 なお、プティンバト火力発電所は、循環流動層燃焼式(Circulation Fludized Bed Boiler=CFB)石炭火力発電所である。CFBは炉の底部から燃焼空気をふき込むことで、高速で流動化した高温の燃料粒子を均一に混合し、効率よく燃焼させる省エネ型システムで ある。
 火炉内での燃焼温度は,一般的なボイラーが1,400~1,500℃であるのに対し,循環流動層ボイラーでは850~900℃と低いため,サーマル窒素酸化物(温度依存の発生窒素酸化物)の生成量を抑制できる。また、広範な燃料燃焼可能である。このようなCFB発電所への転換・建設により、環境汚染軽減 や発電能力・効率性の向上、低コスト化を目指す動きが強まっている。

 この出資案件を足掛かりに、丸紅はフィリピン電力市場においてフィンマ・エナジー社及びAC エナジーホールディングス社と将来案件の共同開発に関して検討すると同時に、フィンマグループ並びにアヤラグループとの関係強化を図っていく方針である。そして、長年にわたる事業経験及び全世界で展開する発電事業のノウハウを活かし、フィリピンにおける電力の安定供給を通じフィリピンの一層の発展に寄与していく方針である(16年12月20日の丸紅株式会社ニュースリリースなどより)。