このところのフィリピンでのヤクルト販売数量が好調で、主要市場でトップクラスの伸び率を記録してきている。2016年(1月~12月)もその勢いが続いた。
ヤクルトは、アジア・オセアニア地域においては、フィリピン、香港、シンガポール、インドネシア、オーストラリア、マレーシア、ベトナム、インド、中国などで乳製品乳酸菌飲料などを製造、販売している。ミャンマーでも2018年春ごろから生産が開始される予定である。
フィリピンでは、ヤクルト本社が40%出資するヤクルト・フィリピン(持分法適用会社)が、1978年10月から営業を行っている。すなわち、創業38周年を迎えたのである。海外発売時期としては、1964年の台湾、1968年のブラジル、1969 年の香港、1971年の韓国とタイに次ぐ歴史を有している。現在は、ヤクルトとヤクルトライトを製造販売している。
2016年の速報値では、ヤクルト・フィリピンの一日当り販売数量は前年比14.5%増の244万9千本へと増加率を高めている。この販売数量は、海外市場では中国の582万5千本、インドネシアの505万1千本、韓国の360万4千本、メキシコの356万本に次ぐ世界第5位で、タイの218万3千本を上回っている。フィリピンのアジア・オセアニア市場でのシェアは11.3%、全海外市場でのシェアは8.7%に達している。ちなみに、アジア・オセアニア地域全体の一日当り販売数量は同7.5%増の2,164万2千本、海外全体では同5.7%増の2,800万4千本であった。
2016年のフィリピンの前年同期比14.5%増という伸び率は、世界で最高の伸びであったインドネシアの16.5%増に次ぐ2位であった。そして、フィリピンでは、需要が非常に好調であり、生産能力増強を図りつつあるが、現時点では需要拡大ピッチに追い付かない状況であり、一部出荷制限を行わなければならない状況である。このような供給面での制約がなければ、販売伸び率はさらに高くなっているものと考えられる。いずれにしても、世界でトップクラスの販売伸び率を継続している。
ヤクルト・フィリピンの資本金は18億ペソ(約50億円)、2015年末の従業員数は1,209人、ヤクルト・レディーは2,869人、取引店は18万2,873店に達している。工場はカランバ市に立地している。
ヤクルト2016年年間の海外乳製品売上数量(1日当たり本数:速報値)
国名 |
連結区分 |
速報値 |
販売実績(千本/日) |
前年比(%) |
フィリピン |
持分法 |
2,449 |
114.5 |
台湾 |
持分法 |
801 |
98.3 |
香港 |
連結 |
549 |
90.8 |
タイ |
持分法 |
2,183 |
102.6 |
韓国 |
持分法 |
3,604 |
97.2 |
シンガポール |
連結 |
242 |
96.8 |
インドネシア |
連結 |
5,051 |
116.5 |
オーストラリア |
連結 |
237 |
102.1 |
マレーシア |
連結 |
329 |
108.1 |
ベトナム |
連結 |
215 |
110.7 |
インド |
連結 |
157 |
108.6 |
中国 |
連結 |
5,825 |
110.2 |
|
アジア・オセアニア計
(連 結 合 計) |
|
21,642
12,605 |
107.5
111.0 |
|
ブラジル |
連結 |
1,936 |
95.3 |
メキシコ |
連結 |
3,560 |
101.8 |
米国 |
連結 |
256 |
112.1 |
|
米州計 |
|
5,751 |
99.9 |
|
ヨーロッパ計 |
|
611 |
104.4 |
|
合 計
(連 結 合 計) |
|
28,004
18,967 |
105.7
107.2 |
(出所:ヤクルト本社の連結決算発表補足資料より)
なお、ヤクルト本社は、2017年上半期に中東地域において、中東ヤクルト株式会社により乳酸菌飲料「ヤクルト」の販売を開始する。
中東地域では、高い経済成長と共に健康に対する意識も高まっている。ヤクルト本社は2015年に、アラブ首長国連邦(UAE)に中東ヤクルト株式会社を設立し、同地域での販売開始に向けて準備をしてきた。乳製品が広く浸透している中東地域の市場において、早急な「ヤクルト」の販売基盤の確立とヤクルトブランドの浸透を目指す。中東地域で販売する「ヤクルト」は、他国からの輸入で供給する(17年1月31日の株式会社ヤクルト本社発表などより)。