比パナソニック業績好調、9カ月間で62%増益
純利益3億3千万ペソ、売上20%増の77億ペソ
2017/02/16
パナソニックのフィリピンにおける製造・販売拠点であるパナソニック・マニュファクチャリング・フィリピンズ(PMPC、会計期末3月)は、2月15日、2016年度(2016年4月~2017年3月)9カ月間(4月~12月)の事業報告書報告書を公表した。それによると、近年好調な業績が更に向上している。
2016年度9カ月間の売上高は前年同期比20.4%増の76億6,946万ペソへと二桁増加した。特に、ピークシーズンである第1四半期がエルニーニョ現象に伴う少雨高温という気候も追い風となり、エアコン、冷蔵庫などの家電販売が好調であった。大幅増収効果にくわえ、銅、金属シート、レジンなどの原料価格が落ち着いていたこともあって、粗利益は同26.5%増の21億1,346万ペソ、純利益は同62.4%増の3億3,251万ペソへと各々大幅増加した。今9カ月間の純利益は、既に好調であった前年度年間利益額32%上回っている。
PMPCの業績は、2000年代の一時期の低迷期を抜け出て、2010年代は下表のとおり上昇トレンドを続けている。2015年度の純利益は2011年度に比べ4.3倍へと急拡大している。上記の様に、2016年度は、好調であった2015年度を大幅に上回るペースで推移している。PMPCは先頃、主力の家電製品中心に拡販やシェア拡大を図ることで、年率20%の増収を続け、2018年度の売上高を2014年度比倍増の140億ペソ超とすることを目指すと表明した。特に、インバーター技術活用のエアコンや洗濯機の拡販を図っていく。また、市場シェア27%で首位となっている冷蔵庫についてもトップの座をさらに強固にする方針である。ちなみに、2015年度の純売上高のうち、冷蔵庫が40.6%、エアコンが36.0%を占めており、2011年度の各々27.8%、30.4%から上昇している。
項目 | 11年度 | 12年度 | 13年度 | 14年度 | 15年度 | 16年度9カ月間 | 前年度同期比 |
売上高 | 594,273 | 640,939 | 659.639 | 671,343 | 812,434 | 766,946 | +20.4% |
粗利益 | 142,356 | 168,913 | 173,238 | 144,166 | 180,352 | 211,346 | +26.5% |
税引前利益 | 8,712 | 16,247 | 20,152 | 21,695 | 39,969 | 42,264 | +62.6% |
所得税費用 | 2,902 | 7,862 | 3,947 | 5,437 | 14,872 | 9,013 | +63.5% |
純利益 | 5,810 | 8,384 | 16,205 | 16,258 | 25,098 | 33,251 | +62.4% |
パナソニック・マニュファクチャリング・フィリピンの製商品別売上構成比
製品 | 11年度 | 12年度 | 13年度 | 14年度 | 2015年度 |
冷蔵庫 | 27.8% | 29.1% | 33.2% | 36.5% | 40.6% |
エアコン | 30.4% | 29.1% | 37.9% | 36.0% | 34.8% |
テレビ | 5.0% | 1.6% | 1.9% | 1.5% | 1.1% |
洗濯機 | 10.3% | 10.0% | 11.9% | 11.6% | 9.8% |
その他&輸出 | 26.5% | 30.2% | 15.1% | 14.4% | 13.7% |
合計 | 100.0% | 100.0% | 100.0% | 100.0% | 100.0% |
なお、PMPCの起源は、1963年5月に設立されたフェスティバル・マニュファクチャリング(FMC)である。FMCは1965年に、プレシジョン・エレクトロニクス(PEC)と社名変更した。このPECと松下電器産業(MEI、社名は当時)が1967年にフィリピンで合弁家電企業を設立した。当初の合弁企業名はPECだったが、25年後の1992年にマツシタ・エレクトリック・フィリピン(MEPCO)と変更された。さらに、2005年に現社名PMPCへと再変更された。すなわちパナソニックは、フィリピンで約50年もの長い歴史を有している。2017年には合弁企業創立50周年、2018年には本社パナソニックが創立100周年を迎える。
この間、フィリピンで初めての非水銀電池やフロンガス不使用の冷蔵庫の生産、家電メーカーとして初めてとなるISO9002、ISO14001認証取得など輝かしい成果を上げてきた。また、フィリピン家電業界をリードする一方、社会貢献活動やパナソニックの「アジア大洋州エコアイディア宣言」に沿った環境保全活動なども推進している。
PMPCは1983年1月にフィリピン証券取引所(PSE)に上場されている。現在、PMPCは額面1ペソの普通株式を約4億2,272万株発行している。そのうち、フィリピン人のみが投資可能なA株8,472万株が上場されている。浮動株比率は14.91%。日本のパソニック本社のPMPC保有比率は2016年12月末時点で79.96%である。パナソニック本社の保有するのはPMPCのB株である(パナソニック・マニュファクチャリング・フィリピン2016年度第3四半期事業報告書などより)。