三菱商事、フィリピンでの分譲住宅開発事業始動へ
「フォーブス タワー」共同開発のセンチュリーと合弁

2017/02/28

 2016年に創業30周年を迎えたフィリピの有力不動産企業であるセンチュリー・プロパティーズ・グループ(CPG)が、事業基盤拡充・多様化を推進している。主力の住宅不動産事業を一層強化するとともに、商業用不動産開発による賃貸事業強化、マニラ首都圏以外の地方での事業強化などを推進しつつある。さらに、ホテル事業にも参入しつつある。

 住宅不動産事業に関しては、2015年に5つのコンドミニアム・プロジェクト(合計2,500戸)を完工、2016年央時点でそのうち94%が売却済みであり、その売却額は128億ペソに達する。そして、2016年から2020年の5年間で、31のプロジェクト(合計1万8,000戸、総面積134万平米)を完工させる計画である。

 一方、オフィス、小売り、メディカルセンターなど商用施設賃貸事業展開にも拍車がかかっている。既存の「センチュリー・シティモール」、「センチュリア・メディカル・マカティ」などにくわえ、2017年から2019年にかけて、三菱商事との合弁オフィス事業「フォーブス メディア タワー」(地上 34階、述床面積約6万平米、マカティ市)のほか、「エイジアン・センチュリーセンター」(タギグ市ボニファシオ・グローバルシティ)などが完工する見込み。そして、2020年までに賃貸面積が30万平米に達するものと見られる。

 住宅不動産事業では、分譲住宅開発事業にも参入しつつある。比較的買いやすい価格での住宅を開発し、初めて持ち家を取得する層をメインターゲットとする。CPGは2月27日、「ファーストホーム(初めての住宅)部門を創設した」と発表した。ブランド名などは2017年第2四半期に発表される予定。

 CPGはこの分譲住宅開発事業においても、三菱商事と協働する。三菱商事は昨年11月、「フィリピンにおける不動産デベロッパー大手CPGと共同でカビテ州の分譲住宅開発プロジェクトに参画する」と発表している。

 このプロジェクトは、マニラ中心部の南に位置するカビテ州タンザにおいて26haの敷地を取得し、約4,000戸の住宅を集積させたコミュニティを開発する計画である。開発は三菱商事40%、センチュリー社60%の出資比率でフィリピン国内に設立の合弁会社を通じて進める。着工・販売開始 は2017年から順次と予定されている。

 マニラ首都圏では、経済成長に伴い急速に人口が増加し、都心部への流入が進んでおり、住宅不足と住宅価格高騰が継続している。フィリピン政府は都心および都心近郊の住環境の整備を喫緊の課題と捉えており、このプロジェクトは斯様なフィリピン政府の課題の解決に寄与するものと考えられる。

 フィリピンは2014年に人口が1億人を突破し、2050年には約1.5億人に達すると予測されている。また、経済的にも過去5年間、GDP成長率年平均約6%と東南アジア諸国の中でも高い成長を遂げており、今後も若い労働人口の増加や、高い教育水準を背景に、アジアの中で最も成長が期待できる国の一つと位置付けられている

 CPGは、三菱商事との合弁事業であるカビテ州タンザ事業を起点に分譲住宅開発事業を推進していく方針である。
 
 一方。三菱商事は、過去3年半の間に、東南アジア地域に於いて、このプロジェクト含め計8件約1万5,000戸の住宅開発に参画してきている。今後も、不動産・都市開発案件への関与を通じて、同地域に於ける都市整備、住環境整備に貢献して行く方針である17年2月27日のフィリピン証券取引所回覧01067-2016号などより)。