比三菱自動車、昨年の生産台数18年ぶりの高水準

46%増の2万2千台、今年は90%増の4万2千台目標

2017/03/01

  2016年のフィリピンの四輪新車の総販売台数(輸入含む)は前年比24.9%増の40万4,051台に達し、5年連続で史上最高記録となった。

  一方、生産台数は同18%増の11万6,868台(乗用車4万5,853台、商用車7万1,015台)であった。生産台数は二桁増となったものの、総販売台数の29%に過ぎず、ASEAN主要国での生産台数シェアは2.9%で最低、ベトナムの5.9%の半分以下である。

 すなわち、フィリピンでは輸入車依存度が70%強まで高まり、フィリピン現地の部品産業など裾野産業の未発展、雇用の伸び悩みという問題をもたらしている。フィリピン自動車産業は、販売台数だけでなく、生産台数の増加が喫緊の課題である。したがって、フィリピン政府も自動車産業育成政策「CARS Program」を始動、生産活発化や裾野産業の育成を図ろうとしている。

 このような状況において、三菱自動車のフィリピンにおける生産・販売会社であるミツビシ・モーターズ・フィリピン・コーポレーション(MMPC)の生産台数が急ピッチで再増加しつつある。2016年はL300、アドベンチャーというアジア仕様モデルが好調で、生産台数は前年比46%増の2万2,008台へと大幅増加した。販売台数5万9,480台の37%の水準ではあるが、1998年以来、18年ぶりの高水準の生産台数となった。

 今年2月17日には、自動車産業育成政策「CARS Program」対象車であるコンパクトセダン『ミラージュG4(他地域名アトラージュ)』の現地生産を開始した。5月からは同コンパクトカー『ミラージュ』の現地生産を開始する予定である。両モデルともこれまではタイから輸入されていた。「CARS Program」対象の有力モデルの生産が開始されたり開始されつつあることから、MMPCは2017年の生産台数は前年比91%増の4万2千台とほぼ倍増となると見込んでいる。ちなみに、2017年の販売台数目標は同22%増の7万5千台である。

 なお、MMPCは1964年に生産を開始。2009年にはフィリピンの自動車会社として初めて累計生産50万台を、昨年5月には60万台をそれぞれ達成した。また、2016年の販売台数は、前年比12.9%増の5万9,480台(シェア15.2%で第2位)となり、10年連続で過去最高を更新している。
 
 MMPCへの出資比率は、双日が49%、三菱自動車 51%となっている。双日は、1972年にフィリピンでの三菱自動車組立・販売事業に参入して以来、長年にわたり三菱自動車とともに車体の生産・販売・ブランド構築に努めてきた。

 三菱自動車にとってフィリピン市場は、米国(9万6,267台、2016年販売台数:以下同様)、日本(8万5,716台) 、中国(8万2,758台)、豪州(7万3,360台)、インドネシア(67,397)に次ぐ世界6位の規模であり、タイ(5万5,409)を上回っている。

 三菱自動車の2016年の主要10市場シェアは、米国0.5%、日本1.7%、中国0.3%、豪州6.2%、インドネシア6.3%、フィリピン15.2%、タイ7.2%、ドイツ1.1%、UAE9.2%、英国0.9%となっている。フィリピンは唯一の2桁シェアを有する市場であり、他の市場のシェアを大きく引き離している。三菱自動車にとって、フィリピンは非常に重要な市場となっている。

 三菱自動車のフィリピンでの市場シェアが、他市場に比べ非常に高いのは、フィリピンでの歴史が非常に長く地道に事業基盤を強化してきたこと、モンテロ・スポーツ、パジェロ、ASX、アドベンチャーなど現地ニーズの高い多目的車のラインアップが豊富であることなどが挙げられる(17年2月27日のミツビシ・モーターズ・フィリピン・コーポレーションのニュースリリースなどより)。


 2016年の三菱自動車の主要10市場
国名 販売台数 市場シェア
米国 96,267 0.5%
日本 85,716 1.7%
中国 82,758 0.3%
豪州 73,360 6.2%
インドネシア 67,397 6.3%
フィリピン 59,480 15.2%
タイ 55,409 7.2%
ドイツ 39,089 1.1%
アラブ首長国連邦 29,958 9.2%
英国 26,892 0.9%
(出所:ルノー・日産アライアンス発表資料より作成、比台数は三菱ブランドのみ)