フィリピン航空を保有・管轄するPALホールディングス(PALHD)が、グループ再編成や資本再構築・増強などの動きを見せている。ちなみに、PALHDはフィリピン証券取引所(PSE)に上場されており、フィリピン航空は未上場である。
PALHDは、昨年9月末、フィリピン航空を完全子会社化する方針を表明した。フィリピン航空株式はそのほとんどを、PALHDによって保有されているが、1.66%は少数株主によって保有されている。PALHDは株式交換によって、少数株主が保有するフィリピン航空株式1.66%を追加取得、100%子会社化する計画を発表した。
PALHDは、昨年11月28日の取締役会において、株式交換により、ZUMAホールディングス・マネジメント社(ZUMA)を買収することを決議した。ZUMAは格安航空会社(LCC)エアフィリピンを保有している。PALHDとZUMAともに、ルシオ・タン氏グループに属する航空会社持株会社であり、PALHDのZUMA買収が完了すると、ルシオ・タン氏グループ内の航空事業の集約化が進展することになる。また、PALHD傘下のフィリピン航空とZUMA傘下のエアフィリピンの経営が、PALHDのもとで一本化されることになるともいえよう。
さらに、PALHDは、公募増資実施も検討している。PALHDは2007年に、当時上場企業ではあったがほぼ休眠状態にあったバギオゴールドを活用することでバックドア・リスティング(裏口上場)した。したがって、上場に際しての新規公募(IPO)は行われていない。PALHDはIPOに替わる公募を実施、資本増強を行うことを検討している。
PALHDは、フィリピン航空の競争力向上のため、外資の出資受け入れも検討している。公募実施前に、出資する外資航空会社を決定、出資受け入れを完了させたい考えとのことである。PALHDは3月29日、外資航空会社との出資交渉が進展しており、2017年上半期中にも出資交渉がまとまる可能性があると表明した(17年3月28日のフィリピン証券取引所回覧01760−2017号などより)。