ジョリビー978店VSマクドナルド520店:2016年末
バーガーキング含むジョリビー連合は1,052店に
2017/04/07
フィリピンでは、ハンバーガーのジョリビーが、国民食とまで称されるほどの圧倒的な支持を得ている。マクドナルドがハンバーガー市場でトップになれない唯一の主要国がフィリピンでもある。ジョリビーのシェアは約50%と見られる。
ジョリビーはフィリピン最大のファ ストフード企業ジョリビー・フーズ(JFC)によって運営されている。2016年末のJFCのフィリピン国内店舗数は2,643店に達している。内訳はハンバーガーのジョリビー978店、中華のチャウキン479店、ピザのグリーンウイッチ250店、ケーキ・ベーカリーのレッドリボン397店、鶏肉・バーべキューのマン・イナサル465店、バーガー・キング74店 となっている。海外の611店舗を含めた店舗数は3,254店舗である。さらに出資比率50%以下の合弁事業分も含めると総店舗数は3,866店舗となる。
上記のように、ハンバーガー・チェーンのジョリビーの2016年末の国内店舗数は978店で、前年末の916店から62店の純増となっている。
一方、マク ドナルド・フィリピン(比マクドナルド)は、当地の有力持株会社アライアンス・グローバル・グループ(AGI)関連会社のゴールデンアーチス・デベロップメント(GADC)によって展開されている。第1号店は1981年にオープンした。このほど発表されたAGI決算速報などによると、2016年末の比マクドナルド店舗数は520店で、前年末の481店から39店の純増となった。
このようにジョリビーの店舗数978店は、比マクドナルドの約1.9倍であり、その差はなかなか縮小しない。ジョリビーのグループ企業であるバーガー・キング74店を加えればその差はさらに拡大、ジョリビー連合が1,052店で比マクドナルド520店の約2倍強となる。
フィリピンにおいて、ジョリビーがマクドナルドを圧倒している理由は、フィリピン人の食習慣や嗜好を的確に把握したメニューを開発、提供していることで あると考えられる。まず、フィリピン人は甘い味付けを好むが、ハンバーガーのドレッシング、スパゲティー類などは、マクドナルドよりかなり甘い。外国人には甘すぎる味付けと感じられるが、フィリピン人には、基本的には、味や規格が世界標準で統一されたマクドナルドのメニューよりは遥かに好まれていると思わ れる。マクドナルドも、一部ローカル好みのメニユーを取り入れるようになってはいるが、フィリピンの大衆を虜にするには至っていない。
また、フィリピン人はコメが大好きで三食ともに米食というパターンが多い。また、ファースト・フードレストランといえども、スナックではなく本格的な食事を好む消費者が多い。そこで、ジョリビーはライス付きの割安なセットメニューを数多く用意し、コメ好きのフィリピン人の心をしっかり捉えている。
食の基本である味付けでは、フィリピン人の嗜好を徹底的に重視する一方で、セントラル・キッチンの高度活用、店舗スタッフの作業や顧客対応などは米国方式のマニュアルに沿うなど効率性を追求していることもジョリビーの強かさであるといえよう。
さらに、子供達の誕生パーティーなどイベント会場を提供、宅配、海外フィリピン人就労者(OFW)から留守宅や知人・友人へのプレゼント宅配、グループ内異業種チェーンとのシナジー効果最大化、海外展開拡充、蜜蜂を模したマスコットフル活用などのマーケティング戦略強化に余念がないことも成功につながっている(ジョリビーフーズとアライアンス・グローバル・グループの2016年決算速報などより)。