フィリピン大手小売企業、2016年業績で明暗
SMやピュアゴールド増益、SSIは7割減益に
2017/04/17
フィリピン証券取引所(PSE)上場の小売り企業や大手非上場小売り企業の2016年決算が出揃ってきた。
まず、上場企業SMインベストメンツ(SMIC)傘下で小売り事業を担当する、業界最大手であるSMリテイル(非上場)の収入は前年比8%増の2,765億ペソ、帰属純利益は同7%増の106億ペソ、売上高純利益率は3.8%、2016年末店舗数は2,110店と発表されている。
ハイパーマーケットや倉庫型店舗中心のピュアゴールド プライスクラブ(ピュアゴールド)の収入は前年比15.9%増の1,126億ペソ、 帰属純利益は同10.5%増の55億2,600万ペソと二桁増収増益となった。売上高純利益率は4.9%で前年の5.1%からは低下したものの、PSE上場小売企業のなかでのトップを維持した。
ゴコンウェイ財閥の有力小売企業であるロビンソンズ リテイル ホールディングス(RRHI)の収入は同13.8%増の1,074億ペソに達した。帰属純利益は同11.8%増の48億3,014万ペソへと各々二桁増加した。そして、投資有価証券売却損益や外為損益など一時的損益を控除したコア純利益も同13.7%増の41億2,100万ペソ、すなわち実質13.7%増益決算であった。
コンビニエンス業界首位のセブンイレブンを展開するフィリピン・セブン社 (PSC)の収入は25.7%増の325億ペソ、商品売上高は同26.6%増の284億、純利益は同16.6%増の11億7,550万ペソに達した。新店効果や年前半の選挙特需などで、地方でのネットワーク構築コスト増などを完全にカバー、好決算となった。店舗数も順調に増加した。1年間で410店をオープン、17店を閉鎖した、この結果、2016年末の店舗数は1,995店に達し、2015年末の1,602店から393店、率にして24.5%%の純増となっている。後続グループのなかには店舗数減というケースも目立ち始めた中で、トップの座を一段と強固にしているといえよう。
以上の上場小売企業は二桁増収増益と好調であったが、セブを拠点とするガイサノ・グループの有力小売り企業であるメトロリテイルストアーズグループ(メトロ リテイル)は、既存店売上高がやや伸び悩んだことなどで、一桁増収増益にとどまった。一方、高級小売り企業のSSIグループ(SSI)は、グループの店舗合理化プログラム実施により店舗数が減少したことや、合弁のファミリーマート事業の損失などにより、帰属純利益は前年比同71%減の2億3,160万ペソへと急減した。
上場企業ではないが、セブンイレブンを追いかけようとしている日系コンビニエンス・ストアも苦戦しているようだ。RRHI年次報告書によると、ミニストップを展開しているロビンソンズ・コンビニエンス・ストアーズ(RCSI)は、2016年に店舗数が20店減少したことで、売上高は前年比3.1%増の56万6,554ペソと伸び悩み、税引き前損失額も同5倍の7,412万ペソへと拡大している。
また、SSI年次報告書によると、SSIのフィリピンファミリーマート事業の出資比率に応じた損失額は前年比82%増の1億4,580万ペソ(閉鎖費用含む)とのことである。SSIのフィリピンファミリーマートへの出資比率は30%であることから、2016年のィリピンファミリーマート全体の損失額は約4億9千万ペソ(閉鎖費用含む)であったと推定される。
フィリピンの好調な個人消費を背景に小売りは依然成長産業といえるが、競争激化、賃貸料や人件費上昇、交通渋滞悪化などに伴う配送コスト上昇などの問題もあり、個々の企業の業績は明暗を分けているともいえよう。
PSE上場の小売り企業等の2016年業績などの比較(収益の単位:100万ペソ)
(出所:各社の年次報告書などより作成)
まず、上場企業SMインベストメンツ(SMIC)傘下で小売り事業を担当する、業界最大手であるSMリテイル(非上場)の収入は前年比8%増の2,765億ペソ、帰属純利益は同7%増の106億ペソ、売上高純利益率は3.8%、2016年末店舗数は2,110店と発表されている。
ハイパーマーケットや倉庫型店舗中心のピュアゴールド プライスクラブ(ピュアゴールド)の収入は前年比15.9%増の1,126億ペソ、 帰属純利益は同10.5%増の55億2,600万ペソと二桁増収増益となった。売上高純利益率は4.9%で前年の5.1%からは低下したものの、PSE上場小売企業のなかでのトップを維持した。
ゴコンウェイ財閥の有力小売企業であるロビンソンズ リテイル ホールディングス(RRHI)の収入は同13.8%増の1,074億ペソに達した。帰属純利益は同11.8%増の48億3,014万ペソへと各々二桁増加した。そして、投資有価証券売却損益や外為損益など一時的損益を控除したコア純利益も同13.7%増の41億2,100万ペソ、すなわち実質13.7%増益決算であった。
コンビニエンス業界首位のセブンイレブンを展開するフィリピン・セブン社 (PSC)の収入は25.7%増の325億ペソ、商品売上高は同26.6%増の284億、純利益は同16.6%増の11億7,550万ペソに達した。新店効果や年前半の選挙特需などで、地方でのネットワーク構築コスト増などを完全にカバー、好決算となった。店舗数も順調に増加した。1年間で410店をオープン、17店を閉鎖した、この結果、2016年末の店舗数は1,995店に達し、2015年末の1,602店から393店、率にして24.5%%の純増となっている。後続グループのなかには店舗数減というケースも目立ち始めた中で、トップの座を一段と強固にしているといえよう。
以上の上場小売企業は二桁増収増益と好調であったが、セブを拠点とするガイサノ・グループの有力小売り企業であるメトロリテイルストアーズグループ(メトロ リテイル)は、既存店売上高がやや伸び悩んだことなどで、一桁増収増益にとどまった。一方、高級小売り企業のSSIグループ(SSI)は、グループの店舗合理化プログラム実施により店舗数が減少したことや、合弁のファミリーマート事業の損失などにより、帰属純利益は前年比同71%減の2億3,160万ペソへと急減した。
上場企業ではないが、セブンイレブンを追いかけようとしている日系コンビニエンス・ストアも苦戦しているようだ。RRHI年次報告書によると、ミニストップを展開しているロビンソンズ・コンビニエンス・ストアーズ(RCSI)は、2016年に店舗数が20店減少したことで、売上高は前年比3.1%増の56万6,554ペソと伸び悩み、税引き前損失額も同5倍の7,412万ペソへと拡大している。
また、SSI年次報告書によると、SSIのフィリピンファミリーマート事業の出資比率に応じた損失額は前年比82%増の1億4,580万ペソ(閉鎖費用含む)とのことである。SSIのフィリピンファミリーマートへの出資比率は30%であることから、2016年のィリピンファミリーマート全体の損失額は約4億9千万ペソ(閉鎖費用含む)であったと推定される。
フィリピンの好調な個人消費を背景に小売りは依然成長産業といえるが、競争激化、賃貸料や人件費上昇、交通渋滞悪化などに伴う配送コスト上昇などの問題もあり、個々の企業の業績は明暗を分けているともいえよう。
PSE上場の小売り企業等の2016年業績などの比較(収益の単位:100万ペソ)
企業名 | 収入 | 増収率 | 帰属純利益 | 増益率 | 純利益率 | 年末店舗数 |
ピュアゴールド プライスクラブ | 115,868 | 15.9% | 5,526 | 10.5% | 4.9% | 329店 |
ロビンソンズ リテイル ホールディングス | 107,411 | 13.8% | 4,830 | 11.6% | 4.5% | 1,578店 |
メトロ リテイルストアーズ グループ | 34,846 | 7.0% | 790 | 4.1% | 2.3% | 50店 |
SSIグループ | 18,442 | 5.9% | 232 | -71.4% | 1.3% | 708店 |
フィリピンセブン(セブンイレブン) | 32,531 | 25.7% | 1,175 | 16.6% | 3.6% | 1,995店 |
SMリテイル(親会社SMICが上場) | 276,500 | 8.0% | 10,600 | 7.0% | 3.8% | 2,110店 |