比トヨタ好調続く、純利益17%増の119億ペソに
15年連続三冠王に、車種別販売上位を独占
2017/04/20
大手商業銀行であるメトロポリタンバンク&トラスト(メトロバンク)グループの持株会社GTキャピタル・ホールディングス(GTCAP)がトヨタ車事業を強化してきている。
GTCAPは、トヨタ自動車のフィリピン拠点であるトヨタモーター・フィリピン(TMPC、所在地:ラグナ州サンタロサ市)の株式保有比率を51%に高めているほか、有力販社であるトヨタ・マニラベイ社(TMBC)のマジョリティーを保有している。さらに、2014年9月には、トヨタ・ファイナンシャル・サービス・フィリピン(TFSPC)株式40%を取得した。これらのトヨタ関連各社の業績が総じて好調に推移している。その中心であるTMPCの2016年(1月~12月)の動向は以下のとおり。
4月18日提出のGTCAP年次報告書などによると、2016年のTMPCの販売台数は前年比32%増の16万2,085台に達し過去最高となった。そして、15年連続の3冠王(総合販売台数、乗用車販売、商用車販売いずれも首位)となるとともに、総合市場シェア(全輸入車を含む総販売台数ベース)は39.4%と断トツ、前年の38.9%から上昇した。
したがって、2016年の売上高は同36.3%増の1,558億ペソと大幅増加した。大幅増収効果に加え、値上げ、部品価格安定、コスト低減策などの効果が為替損や人件費上昇などを上回ったことなどで、粗利益は同15.2%増の213億ペソ、営業利益は同12.7%増の157億ペソ、帰属純利益は同17%増の119億ペソへと各々二桁増加した。。年間帰属純利益は2013年が前年比50%増の42億ペソ、14年が同71%増の72億ペソと連続で大幅増加した。そして、15年には同41%増の102億ペソへと増加、100億ペソの大台を突破したが、16年は一段と拡大した。
年 | 2012年 | 2013年 | 2014年 | 2015年 | 2016年 | 2016年伸率 |
売上高 | 72,560.0 | 80,676.6 | 104,886.9 | 114,289.4 | 155,832.5 | 36.3% |
粗利益 | 7,993.2 | 10,256.6 | 14,628.9 | 18,298.5 | 21,072.3 | 15.2% |
営業利益 | 3,718.2 | 5,719.1 | 9,859.3 | 13,909.9 | 15,669.0 | 12.7% |
帰属純利益 | 2,808.8 | 4,219.0 | 7,208.8 | 10,194.6 | 11,929.0 | 17.0% |
総資産 | 21,035.9 | 23,750.0 | 26,681.4 | 32,278.3 | 36,003.4 | 11.5% |
株主資本 | 8,053.2 | 9,285.9 | 11,923.3 | 15,228.4 | 17,492.3 | 14.9% |
なお、TMPCは、1988年にトヨタ自動車のフィリピン車両製造/販売拠点として設立され、1989年から生産/販売を開始した。出資比率はトヨタ自動車34%、 三井物産15%、メトロバンク・グループ(GTCAP)51%となっている。従業員数は約2,000名に達している。
現在、サブ・コンパクト・セダン「ヴィオス」や中型多目的車(MPV)「イノーバ」を現地生産しているほか、各種乗用車、商用車の輸入販売、国内向け部品販売、部品輸出などを手掛けている。また、販社「レクサス・マニラ」を通じて、ハイブリッド車を含む各種レクサス車の輸入販売を行っている。2009年1月に開業した「レクサス・マニラ」は三井物産との合弁企業であり、TMPCの出資比率は75%、三井物産の出資比率が25%となっている。
なお、フィリピンでの2016年の個別モデル販売台数上位は、1位トヨタ・ヴィオス(小型セダン)3万6,256台、2位トヨタ・フォーチュナー(SUV)2万8,549台、3位トヨタ・ハイエース(バン)1万9,913台、4位トヨタ・ウイゴー(ミニハッチバック)1万8,430台、5位トヨタ・イノーバ(MUV)1万8,137台、6位トヨタ・アバンサ(小型ミニバン)1万3,466台。
トヨタが首位から6位までを占めた後に、7位に三菱ミラージュ(小型セダン)1万2,880台、8位フォード・エベレスト(SUV)1万2,453台、9位トヨタ・ハイラックス(1万2,405台)、10位現代アクセント(小型セダン)1万2,360台と続く。ベスト10のうち8車種は日本車で占められた。
トップのトヨタ・ヴィオスは、フィリピンでの自動車生産・販売を拡大を促し産業振興を支援するための「包括的自動車産業振興戦略」(CARS)プログラムの対象車種である。
このCARSのもとで、フィリピン政府は総額270億ペソの期間限定(2022年までの6年間)成果型の優遇措置を講ずる。優遇措置は3車種(1車種につき6年間で20万台以上生産、すなわち年間平均3万3千台以上生産)を対象に実施される。上記の様に、ヴィオスの2016年の販売台数は3万6,256台で、優遇措置で義務付けられている年間平均約3万3千台以上というペースを上回っていることが注目される。