三井物産の比トヨタ車事業、2016年も好調

販社トヨタ・マニラベイ、純利益77%増の3億ペソ

2017/04/25

 三井物産は、フィリピンにおいて、トヨタ自動車やメトロポリタンバンク&トラスト(メトロバンク)グループとともにトヨタ車事業を推進している。このトヨタ車事業は2016年も好調であった。

 三井物産はトヨタ・マニラベイ社(TMBC)に40%を継続出資してきている。トヨタ・マニラベイ社はフィリピン最大のトヨタ車販社である。また、三井物産は2013年6月に、メトロバンクグループの持株会社GTキャピタル・ホールディングス(GTCAP)から、トヨタ車の販売会社であるトヨタ・クバオ社(TCI)の株式4,500万株(40%)を取得した。TCIは1989年に設立されたトヨタ車販売の草分け的存在である。

 このトヨタ・クバオ社とトヨタ・マニラベイ社は2016年3月に合併した。存続会社はトヨタ・マニラベイ社となった。合併後の新トヨタ・マニラベイ社の2016年(1月~12月)の純売上高は前年比29%増の240億ペソ(プロフォーマベース、以下同様)に達した。そのうち、自動車販売額は同29.7%増の218億ペソで全体の93.6%を占めた。一方、補修部品の売上高は同18.9%増加、メンテナンスサービス収入は同16.9%増加した。

 2016年の自動車販売台数は同16.9%増の2万1,797台であった。フルモデルチェンジしたフォーチュナー(SUV=スポーツ多目的車)やイノーバ(MVC=多目的車)の寄与などにより、1台当たり粗利額は3万9,328ペソで、前年の3万0,103ペソから30.6%増加した。ちなみに、フォーチュナーの粗利益だけで2億5,300万ペソに達した。

 好調な自動車販売や一台当たり粗利額大幅増加にくわえ、オートローンや保険手数料など付帯事業収入増加などにより、純利益は同77%増の2億9,740万ペソへと大幅増加した。合併後の新トヨタ・マニラベイ社はパサイ市ロハス大通り、マニラ市のホセ・アバド・サントス、クバオ市、マリキナ市、カビテ州ダスマリーニャスの5カ所に販売拠点を有している。

 三井物産は、トヨタ自動車のフィリピン製造拠点であるトヨタモーター・フィリピン(TMPC)にも15%出資している(GTCAPが51%、トヨタ自動車が34%)。その他、レクサス車販社であるレクサス・マニラにも25%出資している。フィリピンでのトヨタ車事業基盤拡充が、製造、販売双方で進展していると言える。

 既報のとおり、2016年のTMPCの販売台数は前年比32%増の16万2,085台に達し連続で過去最高となった。そして、15年連続の3冠王(総合販売台数、乗用車販売、商用車販売いずれも首位)となるとともに、総合市場シェア(全輸入車を含む総販売台数ベース)は39.4%と断トツ、前年の38.9%から上昇した。
 したがって、2016年の売上高は同36.3%増の1,558億ペソと大幅増加した。大幅増収効果に加え、値上げ、部品価格安定、コスト低減策などの効果が為替損や人件費上昇などを上回ったことなどで、粗利益は同15.2%増の213億ペソ、営業利益は同12.7%増の157億ペソ、帰属純利益は同17%増の119億ペソへと各々二桁増加した。
 年間帰属純利益は2013年が前年比50%増の42億ペソ、14年が同71%増の72億ペソと連続で大幅増加した。そして、15年には同41%増の102億ペソへと増加、100億ペソの大台を突破したが、16年は一段と拡大した(GTキャピタルの2016年年次報告書などより)。