常石造船、フィリピンで電動車(EV)事業拡大へ

2017/04/28

 ツネイシホールディングス(本社:広島県福山市)は、4月26日、常石グループの2016年度連結業績を発表した。

 ツネイシホールディングス2016年12月期(2016年1月~12月)の連結売上高は、前年比345億円減収の2,038億円(前年比14%減)であった。セグメント別売上高では、造船事業は建造隻数が45隻でほぼ横ばいであったものの、2015年の環境規制前駆け込み受注が影響し、受注隻数が大幅減少となり、前年比248億円減収の1,543億円(前年比14%減)となった。

 海運事業はドライバルク市況の低迷の影響を受けて、前年比57億円減収の269億円(前年比17%減)であった。一方、環境事業は新たに2社を連結対象とし、営業力が向上したため前年比43億円増収の113億円(前年比61%増)となった。また、エネルギー事業は、燃油販売価格の低下や新車・中古車販売の減少により前年比42億円減収の180億円(前年比18%減)となった。ライフ&リゾート事業は、みろくの里やしまなみビレッジなどの施設で過去最高の集客を記録した。また、ベラビスタ スパ&マリーナ 尾道で引き続き客室稼働率などが好調に推移したことで、前年比5億円増収の131億円(前年比4%増)となった。

 個別同区では、エネルギー事業に関して以下のような注目すべき記載がある。
<エネルギー事業> フィリピン、パラグアイにおける販売の拡大とEV事業の拡大
 ツネイシCバリューズ(本社:広島県福山市)では、国内における売電事業を2016年4月より開始する一方、パラグアイ、フィリピンにおいても積極的な事業展開をしてた。パラグアイでは、既存の中古部品販売を南米ボリビアまで販路を伸ばし、今後は重機や農機レンタル・販売事業を拡大、小型電気自動車の製造販売などを展開していく予定。
 
 フィリピンでも、E-Trike(電動オート三輪)、ゴルフカート、電気自動車の販売を中心に重機のレンタル・販売やフォークリフトの販売も展開していく予定である。さらに、EV事業においてはゴルフカートをJFE瀬戸内海ゴルフ倶楽部へ納入したのを機に、国内も含めて伸ばしていく予定小型電気自動車の開発はボディフレームを自社にて3D図面にて設計し、中国、フィリピン、パラグアイで引き続き販売していく予定である。

 なお、常石造船グループのツネイシCバリューズ のフィリピン子会社であるTSUNEISHI C VALUES PHILIPPINES, Inc は、2016年、フィリピンのセブ州バランバン市において、自社開発した電気自動車(EV)新型2車種の試乗会を開催した。

 試乗会で走行したEVは、コンパクトな2人乗りタイプと、荷積み空間が広いピックアップトラックの2車種である。いずれも60キロ以上の走行可能であり、オプションとして走行距離を延ばすためにガソリンを燃料としたハイブリッド型発電エンジンの搭載も可能である。今回のEV試乗会は、『フィリピンで最も環境に優しい町』を目指しているバランバン市と連携し開催したもので、セブ州にある現地メディアにも試乗会の様子が取り上げられるほど注目を浴びた。

 フィリピンでは、主にタクシー用としてガソリンを燃料とするトライシクル(3輪タクシー)約350万台が短距離の交通手段として利用されているが、これら車両の排気ガスによって、大気汚染の拡大やCO2の排出増大へとつながっている。その解決策の一つとして、フィリピン政府では、トライシクルの電動化プロジェクトがマニラで進んでおり、CO2削減の取り組みが国家プロジェクトとして推し進められている。

 この環境問題を解決するため、ツネイシCバリューズでも、2014年12月にツネイシEVラボを設立し、フィリピンで利用可能なEVの研究開発に取り組んできた。ツネイシCバリューズではEV販売事業本格化に向けて、引き続きCO2の削減や利便性、信頼ある製品の開発を進め、環境に配慮したEVを提供するEV事業に取り組んで行く方針である。

 なお、常石造船グループのフィリピンの主要拠点はツネイシヘビーインダストリーズ(セブ){セブ常石造船}である。セブ常石造船は、2014年に設立20周年を迎えたフィリピ ン・セブ島に立地する常石グループとフィリピンのアボイティス・グループとの合弁会社である。3万トン級から18万トン級のばら積み貨物船を中心に、年間約20隻を建造し、従業員数は協力会社を含め1万人を超えるフィリピン有数の造船所となっている(17年4月26日のツネイシホールディングス株式会社ニュースリリースより)。