新日鉄住金エンジニアリング、ダバオでごみ焼却発電

JICAや北九州市等と協同で廃棄物管理向上支援

2017/05/04

  新日鉄住金エンジニアリングは、このほど、環境省が公募した「2017年度 循環産業の戦略的国際展開による海外での CO2 削減支援事業」について北九州市等と連携して提案・応募し、採択に至った。

 採択された案件名は「フィリピン・ダバオ市での廃棄物発電事業にかかる準備調査・事業化検討」であり、実施主体は新日鉄住金エンジニアリング、共同実施者は北九州市、公益財団北九州国際技術協力協会、公益財団北九州市環境整備協会、公益財団地球環境戦略研究機関である。

 フィリピンでは、経済成長や都市化の進展に伴い、廃棄物発生量の増大と最終処分場不足への対応が喫緊の課題となっているが、新日鉄住金エンジニアリングは、2015年度に独立行政法人国際協力機構(JICA)から採択された「開発途上国の社会・経済開発のための民間技術普及促進事業」を契機として、フィリピン・ダバオ市において、新日鉄住金エンジニアリングのストーカ炉式ごみ焼却発電技術を活用した案件の実現可能性に関する検討を行ってきた。

 今般環境省より採択された上記事業を通じ、北九州市等とともに当該検討を更に推し進め、ダバオ市における廃棄物の大幅な減量化とエネルギー利用拡大を同時に図るごみ焼却発電事業の実現と効率的なごみ処理システムの構築に取り組んでいく方針である。

 なお、ダバオ市は、人口150万の国内第3位の都市であり、毎年2%以上で人口が増加しており、それにつれ廃棄物量も増大している。一方、現在の廃棄物処分場の残余年数は、4年ないし5年と言われており切迫した状況にある。

 このような状況の中、2015年から2016年にかけ、JICA事業「ダバオ市における廃棄物利用発電技術普及促進事業」において、廃棄物発電施設(WTE)の導入可能性調査を行い、2016年4月23日にはWTE導入に向けたワーキンググループ(TWG)を設置したところである。WTEを導入するに当たっては、資源化物のリサイクルを推進、廃棄物の減量を行った後、最終残渣をWTEで処理することが前提であり、フィリピンの法律でもそのことが定められている。ダバオ市は、固形廃棄物管理10年計画を定め、ごみ減量に取り組んでいるが、最終処分場の延命につながる成果は得られておらず、毎年廃棄物量は増加し続けている。

 したがって、現在JICA草の根技術協力事業(地域活性化特別枠)採択の「ダバオ市における廃棄物管理向上支援プロジェクト」(2017年3月~2020年3月)において、廃棄物分析技術者の養成、事業者を対象とした資源化物のリサイクル推進、生ごみコンポスト化など廃棄物管理全般を支援することでダバオ市の廃棄物管理体制を強化し、WTEと連携した効果的な廃棄物の減量化を目指している。
このプロジェクトも、新日鉄住金エンジニアリングと、公益財団法人北九州市環境整備協会、公益財団法人地球環境戦略研究機関、北九州市との協働で実施中である(17年5月2日の新日鉄住金エンジニアリングのニュースリリースやJICA資料などより)。