マニラ首都圏オフィス賃貸料、上昇基調続く

2016/11/21

マカティ市高級物件1年間で8.4%上昇との予想

 

 国際的な総合不動産 コンサルティング企業であるコリアーズ・インターナショナル(コリアーズ)は11月18日、フィリピン・マニラ首都圏の2016年第3四半期(7月~9月)の不動産市場動向及び今後の見通しを発表した。

 中央ビジネス区(CBD)におけるオフィススペースと新しい拠点の需要はITビジネス・プロセス管理(IT-BPM)セクターにより堅調に推移している。一方、オフィスビルの供給は労働者不足による建設の遅れでスムーズに進んでいない。建設の遅れは住宅、レジャー施設、小売り施設建設でも見られる。

 第3四半期にマニラ首都圏で推定8万6,000平米(正味使用可能面積)のオフィススペースが供給され、これにより同地域におけるオフィスストックは約780万平米となった。そのうち、BGC(ボニファシオ・グローバルシティー=フォート・ボニファシオ)では、シティバンク・プラザやファイブ・ウエスト・キャンパス等5万3,000平米の新オフィススペースが供給された。その他、ワン・フェリシティ・センター(ケソン市)とスケープ(マニラ湾エリア)が完成した。年内にマニラ首都圏で11万平米(6ビル)が供給される見通し。

 当期のマカティCBDのオフィス空室率(全体)は0.8%で前期から低下。同市場におけるオフィススペースの不足を反映している。高級物件(プレミアムクラス)は空室率は0.8%と前期の0.5%から小幅に上昇した一方、Aクラス、Bクラス及びそれ以下の物件の空室率が低下した。アルファランド・マカティタワー、ペトロン・メガプラザ、88コーポレートセンターの高い需要が目立った。フォート・ボニファシオのオフィス空室率は2016年3月以降下降気味にあり、第3四半期は1.5%となっている。特にNet-1センター、ネット・スクウェア、SMアウラ等Aクラスの需要は高い。Aクラスの空室率は0.6%。

 マニラ首都圏の主要ビジネス地区のオフィス賃貸料は、前期から1~2.0%上昇にとどまった。マカティ中央ビジネス区(CBD)の高級物件(プレミアムクラス)の平均賃貸料は1平米1,306ペソ、前期から1.0%値上がりした。一方、Aクラスの1平米当たりの平均賃貸料は前期比1.5%増の933ペソ。一方、BGCでは、Aクラスの1平米当たりの平均賃貸料は908ペソ、Bクラスは794ペソ。平均1.3%の上昇であった。オルティガス・センターでは、Aクラスの1平米当たりの平均賃貸料は前期比1.1%増の674ペソ、Bクラスは2%増の596ペソであった。

 コリアーズは、今後12カ月間(17年第3四半期)では高級物件、A・Bクラスともに賃貸料がマカティCBDで6%~8%、BGCで4%~7%、オルティガス・センターで4%~6%値上がりすると予想している(16年11月18日のコリアーズ・フィリピンズ発表より)。

マカティCBDオフィス平米当たり月間賃貸料(単位:ペソ/平米)

物件タイプ 16年2Q 16年3Q 対前期伸び率 17年3Q(予) 年間変化率予想
プレミアム 1,130-1,440 1,200-1,500 1.0% 1,240-1,580 8.4%
Aクラス 720-1,110 700-1,300 1.5% 780-1,190 6.1%
Bクラス 590-840 610-860 2.0% 650-920 7.4%

(注:正味使用可能面積に基づいて算出)

マカティCBDオフィス空室率

物件タイプ 16年2Q 16年3Q 17年3Q(予)
プレミアム 0.5% 0.8% 0.7%
Aクラス 3.7% 1.6% 1.3%
Bクラス以下 1.3% 0.6% 0.6%
全クラス 1.7% 0.8% 0.7%



 マニラ首都圏のオフィスストック&新規供給予想(正味使用可能面積、単位:平米)

地区 15年時点 16年 17年 18年  19年 20年 合計
マカティCBD 2,853,034 13,250 16,465 41,326 50,362 183,453 3,157,891
オルティガス 1,380,282 14,503 60,617 45,673 - 278,445 1,779,520
BGC 1,170,503 177,845 385,695 173,114 250,401 29,634 2,187,192
イーストウッド 350,271 - 24,575 81,045 73,191 - 529,082
アラバン 389,701 35,562 86,658 - 58,277 35,010 605,207
マンダルーヨン 284,550 - 53,473 70,943 72,900 - 481,866
北エドサ三角地帯 256,900 49,056 37,106 71,872 68,010 39,894 522,838
アラネタセンター 84,955 49,504 - - 57,564 - 192,023
マニラ湾埋立地 257,422 61,536 73,755 142,351 123,452 105,572 764,089
その他 476,746 49,130 79,624 130,430 127,808 168,088 1,031,827
合計 7,504,365 450,385 817,968 756,754 881,965 840,096 11,251,533

(その他:マニラ、パサイ、ケソン市、及び周辺地域)

 マカティCBDオフィス資本価値(利用可能エリア)(単位:万ペソ/㎡ )

物件タイプ 16年2Q 16年3Q 対前期伸び率 17年3Q(予想) 年間変化率予想
プレミアム 16.5-19.3万 16.9-19.7万 2.2% 18.3-21.3万 8.2%
Aクラス 9.8-13.9万 10.0-14.3万 2.9% 10.9-15.5万 8.2%
Bクラス 7.1-10.3万 7.3-10.7万 3.3% 7.7-11.3万 5.7%

 (上記の表は全てコリアーズ・インターナショナル資料より作成、予想も同社によるもの)