ジョリビー950店VSマクドナルド500店:9月末
2016/11/18
バーガーキング含むジョリビー連合は1千店超に
フィリピンでは、ハンバーガーのジョリビーが、国民食とまで称されるほどの圧倒的な支持を得ている。マクドナルドがハンバーガー市場でトップになれない唯一の主要国がフィリピンでもある。ジョリビーのシェアは約50%と見られる。
ジョリビーはフィリピン最大のファ ストフード企業ジョリビー・フーズ(JFC)によって運営されている。2016年第3四半期末(9月末)のJFCのフィリピン国内店舗数は2,547店に達している。内訳はハンバーガーのジョリビー950店、中華のチャウキン462店、ピザのグリーンウイッチ239店、ケーキ・ベーカリーのレッドリボン381店、鶏肉・バーべキューのマン・イナサル451店、バーガー・キング64店 となっている。海外の642店舗を含めた総店舗数は3,221店舗、さらに5出資比率50%以下の合弁事業分も含めると総店舗数は3,801店舗となる。
上記のように、ハンバーガー・チェーンのジョリビーの2016年9月末の国内店舗数は950店で、前年末の890店から60店の純増となっている。
一方、マク ドナルド・フィリピン(比マクドナルド)は、当地の有力持株会社アライアンス・グローバル・グループ(AGI)関連会社のゴールデンアーチス・デベロップメント(GADC)によって展開されている。第1号店は1981年にオープンした。このほど発表されたAGIの2016年9カ月間事業報告書によると、2016年9月末の比マクドナルド店舗数は500店で、前年末の468店から32店の純増となった。
このようにジョリビーの店舗数950店は、比マクドナルドの約1.9倍であ り、その差はなかなか縮小しない。ジョリビーのグループ企業であるバーガー・キング64店を加えればその差はさらに拡大、ジョリビー連合が1,014店で比マクドナルド500店の約2倍強となる。
フィリピンにおいて、ジョリビーがマクドナルドを圧倒している理由は、フィリピン人の食習慣や嗜好を的確に把握したメニューを開発、提供していることで あると考えられる。まず、フィリピン人は甘い味付けを好むが、ハンバーガーのドレッシング、スパゲティー類などは、マクドナルドよりかなり甘い。外国人には甘すぎる味付けと感じられるが、フィリピン人には、基本的には、味や規格が世界標準で統一されたマクドナルドのメニューよりは遥かに好まれていると思わ れる。マクドナルドも、一部ローカル好みのメニユーを取り入れるようになってはいるが、フィリピンの大衆を虜にするには至っていない。
また、フィリピン人はコメが大好きで三食ともに米食というパターンが多い。また、ファースト・フードレストランといえども、スナックではなく本格的な食事を好む消費者が多い。そこで、ジョリビーはライス付きの割安なセットメニューを数多く用意し、コメ好きのフィリピン人の心をしっかり捉えている。
食の基本である味付けでは、フィリピン人の嗜好を徹底的に重視する一方で、セントラル・キッチンの高度活用、店舗スタッフの作業や顧客対応などは米国方式のマニュアルに沿うなど効率性を追求していることもジョリビーの強かさであるといえよう。
さらに、子供達の誕生パーティーなどイベント会場を提供、宅配、海外フィリピン人就労者(OFW)から留守宅や知人・友人へのプレゼント宅配、グループ内異業種チェーンとのシナジー効果最大化、海外展開拡充、蜜蜂を模したマスコットフル活用などのマーケティング戦略強化に余念がないことも成功につながっている(ジョリビーフーズとアライアンス・グローバル・グループの2016年9カ月間報告書などより)。
« PPP刑務所整備事業の入札日、来年4月27日に延期 | 比の英語能力は世界13位(英米等除く72カ国中)、アジア3位 »