比トヨタ、9カ月間の純利益37%増の105億ペソ
2016/11/15
2015年の年間最高益102億ペソを既に上回る
売上高40%増の1,150億ペソ、総合シェア39%に
当地第2位(総資産ベース)の商業銀行であるメトロポリタンバンク&トラスト(メトロバンク)グループの持株会社GTキャピタル・ホールディングス(GTCAP)がトヨタ車事業を強化してきている。
GTCAPは、トヨタ自動車のフィリピン拠点であるトヨタモーター・フィリピン(TMPC、所在地:ラグナ州サンタロサ市)の株式保有比率を51%に高めているほか、有力販社であるトヨタ・マニラベイ社(TMBC)のマジョリティーを保有している。さらに、2014年9月には、トヨタ・ファイナンシャル・サービス・フィリピン(TFSPC)株式40%を取得した。これらのトヨタ関連各社の業績が総じて好調に推移している。その中心であるTMPCの2016年9カ月間(1月~9月)の動向は以下のとおり。
GTCAP事業報告書などによると、TMPCの今9カ月間の販売台数は卸売ベースで前年同期比37.4%増の10万3,642台、小売りベースで37%増の11万4,419台に達した。総合市場シェア(全輸入車を含む総販売台数ベース)は、第1四半期時点の35.8%から第3四半期末(9月末)時点で39%へと上昇した。第1四半期は、人気車種であるSUV「フォーチュナー」とMUV「イノーバ」のフルモデルチェンジを控えての旧モデル買い控えで、TMCPとしては市場シェアがやや低下した。しかし、新型「フォーチュナー」が3月、新型「イノーバ」が4月に販売されたことで、それ以降の販売台数が大幅増加、シェアも再上昇した。ちなみに、前年同期末時点のシェアは38.5%であった。
したがって、今9カ月間の売上高は前年同期比40.4%増の1,150億ペソと大幅増加、前年の年間売上高1,143億ペソ既に上回った。大幅増収効果に加え、値上げ、部品価格安定、コスト低減策などの効果が為替損を大幅に上回ったことなどで、粗利益は同29.7%増の172億ペソ、営業利益は同36.1%増の137億ペソ、帰属純利益は同36.8%増の105億0ペソへと各々大幅増加した。。年間帰属純利益は2013年が前年比50%増の42億ペソ、14年が同71%増の72億ペソと連続で大幅増加した。そして、15年には同41%増の102億ペソへと増加、100億ペソの大台を突破したが、16年は9カ月間で既にその年間最高益を上回っており、連続年間最高益更新が確実な状況である。
トヨタモーター・フィリピン(TMPC)の業績等の推移(単位:百万ペソ、16年9カ月間は速報値)
2012年 | 2013年 | 2014年 | 2015年 | 16年9カ月間 | 9カ月間伸率 | |
売上高 | 72,560.0 | 80,676.6 | 104,886.9 | 114,346.2 | 115,044.4 | 40.4% |
粗利益 | 7,993.2 | 10,256.6 | 14,628.9 | 18,355.2 | 17,223.1 | 29.7% |
営業利益 | 3,718.2 | 5,719.1 | 9,859.1 | 13,898.9 | 13,725.4 | 36.1% |
帰属純利益 | 2,808.8 | 4,219.0 | 7,210.0 | 10,193.9 | 10,508.3 | 36.8% |
総資産 | 21,035.9 | 23,750.0 | 26,706.7 | 32,290.3 | 40,692.3 | 26.0% |
株主資本 | 8,053.2 | 9,285.9 | 11,927.0 | 15,229.4 | 15,996.8 | 5.0% |
(出所:GTキャピタル事業報告書よりなど作成、総資産や株主資本は年末値、2016年は第3四半期末値)
なお、TMPCは、1988年にトヨタ自動車のフィリピン車両製造/販売拠点として設立され、1989年から生産/販売を開始した。現行資本金は約24億ペソ(約58億円)、出資比率はトヨタ自動車34%、 三井物産15%、メトロバンク・グループ(GTCAP)51%となっている。従業員数は約2,000名に達している。
現在、サブ・コンパクト・セダン「ヴィオス」や中型多目的車(MPV)「イノーバ」を現地生産しているほか、各種乗用車、商用車の輸入販売、国内向け部品販売、部品輸出などを手掛けている。また、販社「レクサス・マニラ」を通じて、ハイブリッド車を含む各種レクサス車の輸入販売を行っている。2009年1月に開業した「レクサス・マニラ」は三井物産との合弁企業であり、TMPCの出資比率は75%、三井物産の出資比率が25%となっている。