PLDT第3四半期49%減益、9カ月間累計で37%減益

2016/11/14

累計コア純利益20%減の217億ペソ、携帯通信不振
携帯通信加入件数8%減少、首位の座グローブに

 

 通信業界首位のPLDTが、11月14日、2016年9カ月間(1月~9月)決算速報を発表した。

 それによると、今9カ月間の営業収入は前年同期比2%減の1,254億ペソ、そのうちサービス収入は同3%減の1,189億ペソと伸び悩んだ。特に、携帯通信収入が同7%減の806億ペソと低調であった。一方、費用は同13%増の1,085億ペソへと二桁増加した。これらの結果、株主帰属純利益は同37%減の159億ペソ、デリィバティブ損益など一時的損益などを調整したコア純利益は同20%減の217億ペソであった。すなわち、実質20%減益決算であった。

 特に第3四半期(7月~9月)の営業収入は前年同期比6%減の401億ペソ、そのうちサービス収入も同6%減の383億ペソと低調。株主帰属純利益は同49%減の34億ペソ、コア純利益は同50%減の40億ペソと非常に不振であった。
 
 フィリピンの携帯電話普及率が100%を大幅に超える(重複加入などを考慮しない単純計算)一方、競争激化、先行投資負担など事業環境は厳しくなってきている。PLDTの業績も2011年、12年、13年、14年、15年と調整局面が続いたが、16年も更なる調整局面が続いている。

 2016年9月末の携帯電話加入件数は6,181万件で、前年同期末の6,700万件から519万件、率にして8%減少した。プリペイド方式が同8%減の5,912万件、ポストぺイド方式も同8%減の269万件となっている。ブランド別内訳はスマートが同10%減の2,217万件、トークNテキストが同8%増の2,985万件、買収したディジテルのサンセルラーが同34%減の979万件となっている。

 なお、業界第2位のグローブ・テレコムの9月末の携帯通信加入件数(SIMベース)は前年同期末比23%増の6,536万件に達した。プリペイド(前払い)方式が同24%増の6,285万件、 ポストペイド(後払い)方式が同2%減の251万件であった。携帯通信加入者数では、PLDTは首位の座を転落したといえる。

 ちなみに、11月7日に発表されたグローブの今9カ月間のサービス収入は前年同期比7%増の891億ペソ、報告帰属純利益は同17%減の117億ペソ、一時的損益や外為変動損益などを除いたコア純利益は同8%減の117億5,000万ペソとなった。すなわち、実質8%減益決算であった。収入や利益の絶対額ではPLDTが依然トップではあるが、かなり追い上げられている感がある。

 競争激化のなか、PLDTは高水準の投資によるデータやITサービス事業、携帯電話を通しての新たな付加価値サービス事業などの強化を推進してきている。今9カ月間の設備投資額は同12%増の261億ペソに達した。2016年年間では前年比11%増の480億ペソと想定されている。

 PLDTは、中期的には高付加価値化効果が一層顕在化してきそうなこともあって、業績が再上昇基調となる可能性が高いとの自信を表明してきた。しかし、足許の業績は厳しそうであり、再上昇基調となるにはかなり時間を要する見込み。現時点での2016年年間のコア純利益予想額は20%減の280億ペソである。しかし、関連会社のビーコンエレクトリック・アセッツマネジメント株式i25%の売却益などを除く厳格な意味でのコア純利益は200億ペソ程度にとどまるとの見方もある(16年11月14日のフィリ ピン証券取引所回覧06404-2016号などより)。