株価10カ月間で6.5%上昇、外人326億ペソの買い越し

2016/10/29

新政権誕生急騰相場の反動などで8月からは調整続く
業種別上昇率:金融15%、持株会社13%、不動産12%

 

 フィリピンの代表的株価指数であるフィリピン証券取引所指数(PSEi)は、10月月間で2.94%下落、8月から3カ月連続での下落となった。

 ドゥテルテ新大統領誕生が確定した5月央から7月までの熱狂的な上昇相場の反動や米国利上げ観測台頭もあって、PSEiは8月以降調整を続けている。一般的には、外国人投資家などが、ドゥテルテ大統領の特に欧米に対する扇情的な発言や、強硬的との印象を与える政権運営スタイルや手法嫌気し、投資資金を引き揚げている結果と講釈されている。しかし、ドゥテルテ大統領のリーダーシップや麻薬犯罪撲滅への並々ならぬ熱意を評価する機運も高まっており、一方的な資金流出が続いているわけでもない。
 
 そしてPSEiは年初10カ月間累計では依然6.51%の上昇となっている。10カ月間累計での大分類セクター別指数動向は、金融株が15.54%上昇、持株会社(ホールディング・カンパニー)株が13.31%上昇、不動産株が12.04%上昇と二桁の上昇となっている。その他も鉱業・石油株が9.31%上昇、工業株が5.09%上昇と堅調。サービス株のみが7.32%%の下落となっている。


フィリピン証券取引所指数の動き(年末値と月末価、16年は10月28日終値)

時期 年末・月末値 上昇率
2004年 1,822.83ポイント 26.38%
2005年 2,096.04ポイント 14.99%
2006年 2,982.54ポイント 42.29%
2007年 3,621.60ポイント 21.43%
2008年 1,872.85ポイント -48.29%
2009年 3,052.68ポイント 63.00%
2010年 4,201.14ポイント 37.62%
2011年 4,371.96ポイント 4.07%
2012年 5,812.73ポイント 32.95%
2013年 5,889.83ポイント 1.33%
2014年 7,230.57ポイント 22.76%
2015年 6,952.08ポイント -3.85%
 
2016年1月末 6,687.62ポイント -3.80%
2月末 6,671.04ポイント -0.25%
3月末 7,262.30ポイント 8.86%
4月末 7,159.29ポイント -1.42%
5月末 7,401.60ポイント 3.38%
6月末 7,796.25ポイント 5.33%
7月末 7,963.11ポイント 2.14%
8月末 7,787.37ポイント -2.21%
9月末 7,629.73ポイント -2.02%
10月末 7,404.80ポイント -2.94%
 
10カ月間 - 6.51%

(出所:フィリピン証券取引所やPDS資料より作成)


 フィリピン証券取引所のセクター別株価指数上昇率

項目 13年の上昇率 14年の上昇率 15年の上昇率 16年10月末終値 10カ月間上昇率
フィリピン証券取引所指数 1.33% 22.76% -3.85% 7,40480 6.51%
全株指数 -2.29% 17.99% -6.43% 4,398.58 10.23%
  金融株指数 -6.42% 18.78% -8.58% 1,791.70 15.54%
  工業株指数 2.11% 37.89% -7.94% 11,592.50 5.09%
  持株会社株指数 5.41% 16.03% 4.78% 7,479.60 13.31%
  不動産株指数 -4.30% 27.42% 3.75% 3,266.64 12.04%
  サービス株指数 8.20% 13.94% -28.03% 1,418.18 -7.32%
  鉱業・石油株指数 -38.59% 32.70% -34.07% 11,397.68 9.31%

 (出所:フィリピン証券取引所資料より作成)

 上記の様にPSEiは月間ベースで3カ月連続の下落となり、10月末終値は、直近の終値ベースでのピークである7月21日の8,102.30ポイントからは8.6%の下落となっている。ただし、PSEiは、大統領選挙を含む総選挙投票日(5月9日)の直前営業日である5月6日には7,000ポイントを割り込んでいた。ドゥテルテ氏の勝利が確実となった投票日翌日の5月10日終値は約7,174ポイント(小数点以下切り捨て、以下同様)へ急騰、大統領就任式(現政権発足)の6月30日には7,796ポイントとなり、投票日直前からは11.5%の上昇となった。
 
 その後、上記の様に、7月21日には、ドゥテルテ大統領就任後の最高値である8,102ポイントまで上昇、史上最高値を伺う動きとなった。その後は、上記のような扇情的な発言などが響き調整局面を迎えたが、10月28日の終値7,404ポイントは、昨年末や5月の投票日直前と比べると約6%上の水準にある。この間の中国などの景気鈍化、英国のEU離脱投票、米国の利上げの動きなど海外での不透明感が強まる中、フィリピン株式市場は比較的底堅い動きを続けていると言えなくもない。

 外国人投資家動向に関しては、10月は約50億ペソの売り越し、8月の3カ月間で186億ペソの売り越しとなっている。この3カ月間をとれば確かに急ピッチの売り越しではあるが、10カ月間累計では依然約326億ペソの買い越しとなっている。ドゥテルテ大統領の当選が確定した後の6月と7月の2カ月間だけで約395億ペソという非常に大幅な買い越しを演じたことで、7月末時点での累計買い越し額が512億ぺという高水準に達したのである。その後売り越し基調となっても、売り越し額は6月と7月の買い越し額を大幅に下回っていることで、10月末時点での累計買い越し額は300億ペソを上回っているのである。

 10月末時点での外国人累計買い越し額326億ペソは2015年同月末時点の474億ペソの売り越し、2016年通年の597億ペソの売り越しに比べると様変わりと言えよう。今年も2月末時点で53億ペソの売り越しであり、ドゥテルテ大統領当選確定後の買い越し額は高水準である。
 

ドゥテルテ新政権誕生前後からのPSE指数(終値ベース)の動き

時期 5月6日 5月10日 6月30日 7月21日 7月29日 8月26日 10月7日 10月28日
ポイント 投票直前 当選確実 大統領就任 就任後最高値 就任1カ月 就任2カ月 就任100日 直近株価
PSE指数 6,991.87 7,174.88 7,796.25 8,102.30 7,963.11 7,845.49 7,587.29 7,404.80

 (出所:PSEの取引記録などから作成)

 2016年各月末の外国人累計買越額の推移(単位:億ペソ)

1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月
累計買越額 -22 -53 31 159 117 321 512 428 379 326

(出所:PSE週間記録から作成、各月最終週の金曜日の値をを月末値としている)

 なお、2016年年初10カ月間の1日当たり平均売買額は前年同期比15%減の79億8,000万ペソ。前年年間平均の約89億6,000万ペソを11%下回っている。外人の売買額シェアは51%で、前年通年の48%を上回った。
 2016年9月末のPSE時価総額は前年末比9%増の14兆6,814億ペソ、そのうち、国内企業時価総額が同11%増の12兆4,282億ペソであった。なお、PSE算出のPSE取引所指数ベースの株価収益率(PER)は20.04倍であった。


 フィリピン証券取引所の推移(年末・月末値)

項目 2010年 2011年 2012年 2013年 2014年 2015年 16年10月末
フィリピン証券取引所指数 4,201.14 4,371.96 5,812.73 5,889.83 7,230.57 6,952.08 7,404.80
時価総額(億ペソ) 88,611 86,970 109,301 119,313 142,517 134,651 146,814
  国内企業時価総額 68,922 72,390 94,163 96,452 117,128 111,878 124,282
  外国企業時価総額 19,689 14,580 15,138 22,861 25,389 22,773 22,532
1日平均売買額(億ペソ) 49.5 57.1 72.6 105.2 88.0 89.6 79.8
外人の売買額シェア 38.1% 37.8% 45% 51% 49% 48% 51%
外人買越額(億ペソ) 356.2 565.2 1,099.8 155.9 557.2 -597.1 326.3
PER(株価収益率) 21.32倍 16.57倍 17.97倍 17.79倍 20.13倍 19.48倍 20.04倍

 (出所:フィリピン証券取引所資料より作成、株価収益率はPSE基準算出数値)