比中共同声明、2.5兆円相当の経済支援など

2016/10/22

ダバオ領事館開設、バナナ輸入再開なども
南シナ海問題、中国が目指す当事国協議へ

 

 フィリピンのドゥテルテ大統領は、中国の習近平国家主席の招聘を受け、10月18日~21日、中国を公式訪問した。

 ドゥテルテ大統領は20日に北京人民大会堂で習近平国家主席と会談、両国間関係の全面的改善、広範な発展促進、両国民の利益向上などで合意した。会談後、両首脳は、経済、金融、生産、インフラ、投資、貿易、投資、観光、麻薬対策、海上警備などの分野における13の二国間協力合意の調印式にも立ち会った。このほか、李克強首相、全国人民代表大会の張徳江常務委員長などとの会談おこなわれた。

 そして、21日には中国からの約240億米ドル(約2兆5千億円)相当と見られる経済支援などが盛り込まれた共同声明が発出された。経済支援に関しては、中国によるフィリピンのインフラ整備支援、バナナ輸入再開等にも言及されている。また、麻薬取締りや麻薬患者更生支援なども謳われている。さらに、ドゥテルテ大統領の地元であるミンダナオ島ダバオ市での中国領事館開設にも合意とされている。

 南シナ海領有権問題に関しては、中国の主権主張を否定したオランダ・ハーグの国際仲裁裁判所の判決には触れず、「武力によらず二国間の対話で平和的に解決することを目指す」とし、中国側が目指す当事国同士での対話再開が明記された。仲裁判断所の判決受け入れを拒否し米国等の介入を排除しようとする中国の意図に沿った内容となっている。

 なお、フィリピン外務省のウエブサイト(http://www.dfa.gov.ph/)にこの共同声明英語文「Joint Statement of the Republic of the Philippines and the People's Republic of China」が掲載されている。