NEDO、比で新公共交通システム実証事業開始

2016/10/21

EVエコシステム等でエネルギー消費85%削減目標
ソフトバンク委託、著名観光地イントラムロスにて

 

 国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、フィリピン貿易産業省(DTI)およびイントラムロス監督庁(IA)と共同で、電動三輪自動車とEVエコシステムを組み合せた新公共交通システム実証事業を開始した。

 この実証事業では、ソフトバンクが委託先となり、マニラ市内で、交通事情を踏まえた定期運行管理、車両稼働率管理、EV充電管理などを実施し、現地ニーズを満たした公共交通システムを実現できるかを検証する。この取り組みを通じて、フィリピンへの新公共交通システムの導入・普及実現とともに、エネルギー消費量85%削減を目指す。

 フィリピンは、ガソリン車またはディーゼル車の排気ガスによる大気汚染、騒音、交通渋滞といった交通に起因する環境負荷問題の解決方法の一つとして、電気自動車技術およびITを用いた効率的な公共交通機関の実現に強い関心を示している。このような背景のもと、NEDOは、2016年4月にDTIとイントラムロス監督庁との間で、電気で走行する電動三輪自動車とEVエコシステムを組み合わせた新公共交通システムの導入・普及に向けた実証事業を実施することに合意し、それぞれと基本協定書(MOU)を締結したという経緯がある。

 この実証事業は、ソフトバンクが委託先となり、2016年10月から2018年9月まで約2年間、マニラ市内の観光・文教地区であるイントラムロスにて実施する。今回実証で用いるEVエコシステムとは、「個別認証を含む充電インフラ」、「運行管理・アセット管理をするテレマティクス」、「運賃課金等のサービスプラットホーム」、「車載に搭載する通信機器」の4つから構成されるものであり、EVと本システムを活用して、具体的には以下の内容を実施する。

【1】新たに導入する電動三輪自動車とEVエコシステムを組み合わせた、新公共交通システムの導入に関して実証を行い、同システムの有効性と省エネ効果を検証する。具体的には、新公共交通システムによる交通事情を踏まえた、定期運行管理、車両の稼働率管理、電動三輪自動車の充電管理等を、現地ニーズを満たす形で実現できるかどうか検証する。

【2】電動三輪自動車普及の代表的な阻害要因である充電環境問題に対して、個別認証、個別充電量および個別機器状態等の情報を、ネットワーク経由でデータベース化して、管理・制御する仕組みを確立する。

【3】この技術は、基本的には、多様な電気自動車(二輪、三輪、四輪)に対して、同じ方式で対応することが可能であり、今回の新公共交通システムを旅客運行事業者に対して一括提供できる仕組みを検討する。

 これら実証内容を通して、「正確な定期運行」、「車両の稼働率管理」、「充電管理」、「システム(技術)の汎用化」を実現し、同国内への新公共交通システムの導入・普及を図ることで、大幅な排出ガス削減、エネルギー消費量85%削減を目指す。

 なお、10月20日にイントラムロスで行われた実証開始式では、NEDOから土屋宗彦理事、DTIからディチョーサ常任理事、IAからサハグン財務管理部門長、在フィリピン日本国大使館から鈴木潤一郎商務官、ソフトバンク(から鬼頭周常務取締役らが出席した(16年10月20日の国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構ニュースリリースより)