フィリピン、アフリカ食料安保で指導的役割
2016/10/19
JICA、IRRI、比稲作研究所が連携、稲作支援
国際協力機構(JICA)は、国際稲作研究所(IRRI、 本部・フィリピン)、フィリピン稲作研究所(フィルライス)との間で、アフリカの食料安全保障支援事業に関して更なる連携強化で合意、10月18日、マカティ市のJICAフィリピン事務所において、署名式を開催した。
合意内容の骨子はアフリカの稲作普及・向上支援であり、第2次「アフリカ稲作農業普及研修」事業の実施である。
この研修は、「アフリカ稲作振興のための共同体(CARD)」の一環として、JICAと、稲作研究の国際的権威であるIRRIが連携し、そこに、JICAが長年、技術協力を行ってきたフィルライスが、技術普及の実践的な支援を行う形で加わり実現した。CARDは、JICAと国際NGO「アフリカ緑の革命のための同盟(AGRA)」が2008年5月、共同で提案したアフリカの稲作振興のためのイニシアチブである。世界銀行やアフリカ開発銀行をはじめとする11の機関が協調して、アフリカでのコメの生産量を10年間で倍増することを目指している。
2011年から2015年に実施された第1次研修では、会議室での講義は最低限にし農家の圃(ほ)場での実践に重点が置かれた。また、稲作作業の多くが女性により行われていることから、参加者のジェンダーバランスも考慮しており、各国5人の参加者のうち、ほぼすべての国から2人以上の女性が参加した。第2次では、品種改良に関する研修なども行われる予定である。
なお国連は、先頃発行した好事例集において、国際協力機構(JICA)の南南・三角協力への取り組みが、持続可能な開発目標(SDGs)の実現に大きく貢献していると高く評価した。「南南協力」とは、開発が比較的進んでいる途上国が、自国の開発経験や人材などを活用して、開発が進んでいない途上国に対して援助を実施することである。その取り組みを先進国などが支援するのが「三角協力」である。
国連が発行した事例集は、「持続的開発のための南南・三角協力の優れた取組」。世界各国・機関が実施の南南・三角協力のうち、60件の事例を取り上げているが、うち1割に当たる6件をJICAの事業が占めており、南南・三角協力への先進的な取り組みを続ける機関として、JICAが高く評価されている。
この好事例集で挙げられた事例の一つが「アフリカ稲作振興のための共同体(CARD)」である。 「CARD」事業の一環として、上記の様にフィリピンにおいて、2011年から第1次「アフリカ稲作農業普及研修」が実施され、アフリカの農業普及員らがアジアの稲作現場で、フィリピン人専門家から指導を受けた。
フィリピンは、カンボジアでの「農業資材(化学肥料及び農薬)品質管理能力向上計画」(2009年3月から201203月)においても、農薬の適切な使用と品質管理を促進すべく専門家を派遣するなど、様々な南南協力で重要な役割を担うようになっている。 一般的に、フィリピン専門家は、語学力に優れているほか、専門知識のみならず、実際の現場で経験を積んでいることから、更なる活躍が期待される。