9月の外人金融投資、8.1億ドルの大幅売り越しに

2016/10/14

国内外の不安要因で、株式連日の売り越し
9カ月間では依然12.7億ドルの買い越しに

 

 フィリピン中央銀行(BSP)は10月13日、2016年9月及び年初9カ月間(1月~9月)の海外からのポー トフォリオ投資(証券投資等の間接投資)勘定の速報値を発表した。海外からのポートフォリオ投資としてカウントされるのは、非居住者によるポートフォリオ投資動向であり、証券取引所(PSE)を通じてのフィリピン株式、ペソ建て債券、銀行でのペソ建て預金、マネーマーケット投資などが含まれる。

 9月の海外からのポートフォリオ投資勘定の売越額は前年同月比2.5倍の8億0,700万米ドルであった。

 証券などの取得総額(グロス)は前月比27.5%減、前年同月比6.9%減の12億7,400万米ドルに減少。米国の次期金利引き上げのタイミングに関する懸念やダバオ市内で起きた爆発事件による政府の非常事態宣言「無法暴力状態」の発令、欧州中央銀行のボンド買い計画中止決定等で投資家のセンチメントが冷え込んだ結果。主な投資対象は PSE上場企業株式(持ち株会社、不動産会社、銀行、通信サービス会社、食品・飲料・タバコ企業)(シェア88.7%)、ペソ建て国債(11.3%)など。対フィリピン投資国上位5カ国は英国、米国、シンガポール、マレーシア、ルクセンブルクで、 全体の72.3%を占めた。

 一方、 9月の処分総額は前月比56.5%増、前年同月比23.0%増の20億8,100万米ドルであった。

 2016年年初9カ月間の海外からのポートフォリオ投資勘定は12億6,700万米ドルの買い越し。大幅な純流入の主な要因として、事業会社の新規公募(IPO)への投資、及び、持ち株会社やユニバーサル銀行(拡大商業銀行)への投資拡大、また、ペソ建て国債への新たな関心の高まりなどが挙げられる。

 証券などの取得総額(グロス)は前年同期比13.9%減の137億4,700万米ドル。一方、処分総額は23.7%減の124億8,000万米ドルであった(16年10月13日のフィリピン中央銀行発表より)。


海外からのポートフォリオ投資(証券等の金融市場投資)勘定 (単位:百万米ドル)

期間 16年 15年 対前月伸率 対前年伸率 16年 15年 伸率
9月 8月 9月 1-9月 1-9月
取得総額 1,274 1,757 1,368 -27.5% -6.9% 13,747 15,959 -13.9%
処分総額 2,081 1,330 1,692 56.5% 23.0% 12,480 16,347 -23.7%
純流入額 -807 427 -324 純流出に転落 純流出額2.5倍に 1,267 -388 純流入に転換

(出所:フィリピン中央銀行資料より)