比ローソン8月末21店に、出店ピッチ鈍化

2016/10/13

ミニストップ、ファミリーマートは減少傾向続く
首位セブン・イレブンのみ2千店に向け順調

 

 ローソン(本社:東京都品川区)とフィリピンの小売大手ピュアゴールド・プライスクラブ(PPCI、本社:マニラ市)は、2015年3月30日に、フィリピンのマニラ市サンタアナ・フランシスコ通りにローソン1号店をオープンした。すなわち、ローソンはフィリピン進出1年半を迎えつつある。

 フィリピンでのローソン店舗は、ローソンとPPCIとの合弁会社「PG ローソン、本社:マニラ市)」によって運営されている。日本のローソンの持つCVS運営ノウハウや商品開発力と、現地有力企業であるPPCIの持つ地域に密着した商品調達力、店舗開発力を活かし、フィリピンの地域特性にあった ローソン店舗を展開して行く方針である。海外でのローソン店舗の出店は、中国、インドネシア、米国(ハワイ)、タイに 続き、5カ国目となった。

 1号店出店時には、現地のニーズを検証した上で出店を拡大し、2015年度中に50店舗、2020年度までに500店舗を出店するとの計画を発表している。しかし、出店ピッチはやや鈍化傾向となっている。日本のローソンの有価証券報告書や決算短信などによると、フィリピンで出店は以下のように推移してきている。4月5日には、マニラ首都圏マカティ市の中心地アヤラ通り沿いに旗艦店をオープンした。この旗艦店オープニングセレモニーにおいて、ローソンの玉塚CEOは「今年度中に75店、2020年度までに500店出店する予定」とコメントした。しかし、出店ピッチは予定よりも鈍化している。

フィリピンのローソン店舗数推移(月末値)

2015年 2016年
3月 5月 8月 11月 2月 5月 8月
店舗数 1 2 9 12 16 18 21

 (出所:ローソン有価証券報告書などより作成)

  上表の様に、ローソンはフィリピン進出約1年半で21店をオープンしたことになる。これまでは、堅調な推移してきているといえる。ただし、フィリピンでもコンビニエンス・ストア出店競争が激化している。フィリピンでは現在、業界首位のセブンイレブンをマーキュリー・セルフサービスやミニストップが追うという構図になっている。そして、ファミリーマート が2013年進出した。このような状況下において、業界トップのセブンイレブンが急ピッチで店舗網を 拡充させていることが目立つ。後続コンビニも追撃を図ろうとしているが、セブンイレブンの動きが早く、現時点では店舗数の差が拡大傾向にある。 2015年の年間店舗純増数はセブン・イレブンの320店に対し、ミニストップ65店、ファミリーマート33店と差がついたが、2016年は一段と格差が拡大している。セブンイレブンが、2016年末2千店という目標に向けて順調に店舗数を増加させているのに対し、ファミリーマートは2015年末から9月までで16店減少、ミニストップも2015年末から9月まで18店減少という結果となっている。そして、9月末時点の店舗数はミニストップが501店で前年同月末比10店減少、ファミリーマートが101店で同12店減少、すなわち、双方とも前年同月比でも減少となっている。一方、セブンイレブンは7月末で1,760店に達し、年初から158店の純増となっている。

フィリピンの主な日系コンビニ店舗数

年・月 12年 13年 14年 2015年 2016年
3月 6月 9月 12月 3月 6月 7月 8月 9月
セブンイレブン 829 1,009 1,282 1,341 1,405 1,480 1,602 1,655 1,740 1,760 N.A N.A
ミニストップ 337 386 454 472 495 511 519 518 513 513 508 501
ファミリーマート 0 31 87 95 105 113 120 104 102 101 101 101

(出所:各社資料より作成、ミニストップ、ファミリーマートは日本側発表数値)
注:比セブンイレブンは直接的には台湾プレジデント・チェーン・ストア傘下