国際競争力が10ランク急低下、57位(138カ国中)に

2016/09/28

インフラ、治安、効率性、起業手続き等で厳しい評価

 

  世界経済フォーラム(WEF)が、最新版(2016~17年度)『国際競争力報告書』を発表した。最新版競争力ランキングは、世界138カ国・地域(昨年は140カ国・地域)の経済データや、経済界や研究機関へのアンケート調査をもとに算出された。

  『国際競争力報告書』の総合的な競争力ランキングには、コロ ンビア大学のザビエル・サラ=イ=マーティン教授が世界経済フォーラムのために開発し2004年に導入された世界競争力指数(GCI)が用いられている。GCIは競争力に関する3つのサブインデックス(12分野、110項目)をもとに設計されており、世界の国々のすべての発展段階における競争力の全体像を示す。

 3つのサブインデックスとは基礎的指標、効率性強化指標、革新と洗練性指標である。基礎的指標は制度機構、インフラ、マクロ経済環境、保健および初等教 育という4分野、効率性強化指標は高等教育および訓練、商品市場効率、労働市場効率、金融市場の高度化、技術的即応性、市場規模という6分野、革新と洗練性指標はビジネスの高度化、事業革新という2分野で構成されている。

 最新版における競争力第1位はスイス(8年連続)、第2位はシンガポール(昨年も2位)、第3位は米国(昨年も3位)、4位はオランダ、5位はドイツ、6位はスウェーデン、7位は英国、8位は日本、9位は香港、10位はフィンランドであった。
 
 ASEAN諸国は、上記のような2位のシンガポールのほか、25位にマレーシア、34位にタイ、41位にインドネシア、57位にフィリピン、60位にベトナム、 89位にカンボジア、93位にラオスとランクされている。

 フィリピンの総合順位57位は昨年の47位から10ランク急反落、一昨年の52位も下回ってしまった。アキノ前政権発足の2010年は85位であったが、その後急上昇を続け、昨年には47位まで躍進した。すなわち、アキノ前政権下では38ランクの上昇となっていた。


 フィリピンのサブ・インデックス順位は、基礎的指標が65位(制度機構91位、インフラ95位、マクロ経済環境20位、保健および初等教育81位)。効率性強化指標は58位(高等教育および研修58位、商品市場効率99位、労働市場効率86位、金融市場の高度化48位、技術的即応性83位、市場規模31位)。革新と洗練性指標は53位(ビジネスの高度化52位、技術革新62位)。

 昨年度と同様、マクロ経済環境や市場規模で比較的高い評価を受けているが、インフラ整備、商品・労働市場の効率性、治安・統治、起業の容易さなどに関する評価は一段と厳しいものとなっている(16年9月28日の世界経済フォーラム発表などより)。