ジョリビー939店VSマクドナルド496店
2016/08/16
比ハンバーガー市場、現地企業が断トツ
商品・販売戦略奏功、ユニクロとも提携
フィリピンでは、ハンバーガーのジョリビーが、国民食とまで称されるほどの圧倒的な支持を得ている。マクドナルドがハンバーガー市場でトップになれない唯一の主要国がフィリピンでもある。ジョリビーのシェアは約50%と見られる。
ジョリビーはフィリピン最大のファ ストフード企業ジョリビー・フーズ(JFC)によって運営されている。2016年6月末のJFCのフィリピン国内店舗数は2,528店。内訳はハンバーガーのジョリビー939店、中華のチャウキン457店、ピザのグリーンウイッチ237店、ケーキ・ベーカリーのレッドリボン378店、鶏肉・バーべキューのマン・イナサル455店、フィリピン・バーガー・キング62店となっている。海外の655店舗を含めた総店舗数は 3,183店舗に達している。
上記のように、ハンバーガー・チェーンのジョリビーの2016年6月末の国内店舗数は939店で、前年同月末の880店から59店、率にして6.7%の純増となっている。
一方、マク ドナルド・フィリピン(比マクドナルド)は、当地の有力持株会社アライアンス・グローバル・グループ(AGI)関連会社のゴールデンアーチス・デベロップメント(GADC)によって展開されている。第1号店は1981年にオープンした。このほど発表されたAGIの2016年第2四半期事業報告書によると、2016年6月末の比マクドナルド店舗数は494店で、前年同月末の464店から30店、率にして6.5%の純増となった。
このようにジョリビーの国内店舗数939店は、比マクドナルドの約1.9倍であ り、その差はなかなか縮小せず、むしろ拡大傾向にある。ジョリビーのグループ企業である比バーガー・キング62店を加えればその差はさらに拡大、ジョリビー連合が1,001店で比マクドナルド494店の2倍強となる。
フィリピンにおいて、ジョリビーがマクドナルドを圧倒している理由は、フィリピン人の食習慣や嗜好を的確に把握したメニューを開発、提供していることで あると考えられる。まず、フィリピン人は甘い味付けを好むが、ハンバーガーのドレッシング、スパゲティー類などは、マクドナルドよりかなり甘い。外国人には甘すぎる味付けと感じられるが、フィリピン人には、基本的には、味や規格が世界標準で統一されたマクドナルドのメニューよりは遥かに好まれていると思わ れる。マクドナルドも、一部ローカル好みのメニユーを取り入れるようになってはいるが、フィリピンの大衆を虜にするには至っていない。
また、フィリピン人はコメが大好きで三食ともに米食というパターンが多い。また、ファースト・フードレストランといえども、スナックではなく本格的な食事を好む消費者が多い。そこで、ジョリビーはライス付きの割安なセットメニューを数多く用意し、コメ好きのフィリピン人の心をしっかり捉えている。
食の基本である味付けでは、フィリピン人の嗜好を徹底的に重視する一方で、セントラル・キッチンの高度活用、店舗スタッフの作業や顧客対応などは米国方式のマニュアルに沿うなど効率性を追求していることもジョリビーの強かさであるといえよう。
さらに、子供達の誕生パーティーなどイベント会場を提供、宅配、海外フィリピン人就労者(OFW)から留守宅や知人・友人へのプレゼント宅配、グループ内異業種チェーンとのシナジー効果最大化、海外展開拡充、蜜蜂を模したマスコットフル活用などのマーケティング戦略強化に余念がないことも成功につながっている。
また、2015年からはユニクロ・フィリピンとも提携している。ユニクロのTシャツ「UT」に、ジョリビーの人気マスコットキャラクター(蜜蜂モチーフなど)をデザインしたバージョンを投入、フィリピンのユニクロ各店が販売している。ジョリビーの人気マスコットキャラクターをデザインしたTシャツは、ユニクロとジョリビー双方の人気を一段と高めているといえよう(ジョリビーフーズとアライアンス・グローバル・グループの事業報告書などより)。