日清食品のフィリピン即席麺事業、好調続く

2016/08/14

ニッシンURC、9カ月間純利益52%増の3.2億ペソ

 

日清食品グループ(日清グループ)は、フィリピンにおいて、ゴコンウェイ・ファミーリーの有力食品企業ユニバーサル・ロビーナ・コーポレーション(URC)との合弁企業「ニッシン・ユニバーサル・ロビーナ・コーポレーション」(ニッシンURC、1996年設立、会計期末は9月)を通じて即席麺事業を展開、カップ麺ではトップ企業となっている。現在の日清グループのニッシンURC株式保有比率は49%となっている。



 このニッシンURCの業績が好調に推移している。URCの事業報告書などによると、ニッシンURCの2015年度(2014年10月~2015年9月)の売上高は2年前の2013年度に比べ92%増の35億5,300万ペソ、純利益も同45.5%増の3億0,400万ペソへと大幅増加している。

 さらに、2016年度9カ月間(2015年9月~2016年6月)の売上高は前年同期比17%増の35億6,400万ペソ、EBITDA(税前・償却前・利払い前利益)は同48%増の5億6,500万ペソ、純利益は同52%増の3億5,300万ペソと二桁増収増益となった。EBITDAや純利益は2015年度年間実績を既に大幅に上回っている。フィリピンの高い経済成長率、カップ麺の需要拡大にくわえ、日清グループのフィリピン事業強化策の奏功といえよう。 ニッシンURCの業績などの推移(単位:百万ペソ、15年度までは年間ベース、16年度は9カ月間)

項目 13年度 14年度 15年度 16年度9カ月間 前年度同期比
売上高 1,851 2,434 3.553 3,064 +17%
EBITDA 334 461 505 565 +48%
純利益 209 299 304 353 +52%
総資産 1,099 1,407 1,612 1,971 +16%

 (出所:URC年次報告書、四半期報告書などから作成)

 東南アジア地域は、麺食文化がもともと存在することに加え、継続的な経済成長による即席麺の消費量・販売額の拡大が見込める有望市場であり、日清グループも同地域での事業展開を加速させている。中でもフィリピンは、2013年には実質GDP成長率が7.2%を記録、その後もASEAN屈指の高成長を続けている国である。同時に、フィリピンは即席麺の総需要が世界第9位となる27億2,000万食の規模を有する世界有数の市場であり、今後も人口増加や経済力の向上にともない、さらなる市場拡大が期待されている。

 日清グループは、以前よりニッシンURCを通じて、フィリピン市場の開拓を行ってきたが、特に近年は1人当たりのGDPや可処分所得が増加したことにともない、袋麺だけでなく、より付加価値の高いカップ麺の需要が高まっており、ニッシンURCの主力製品である「Cup Noodles」の販売も好調に推移している。

 フィリピンでの即席袋麺のトップ企業は、ラッキーミーブランドで知られるモンデ・ニッシンである。社名には「ニッシン」が含まれており紛らわしいが、モンデ・ニッシンは現地資本企業であり、日清など日本企業との資本関係は全くない。
 
 なお、日清食品は、「カップヌードル」の誕生45周年を記念して、アジア、欧米、ヨーロッパなど世界中で販売されているカップヌードルから20品を厳選し、その中から投票で1位に選ばれた商品を日本で発売する「世界のカップヌードル総選挙」を5月11日から5月31日まで実施した。その結果は2016年9月12日(月)にカップヌードルのブランドサイト (http://www.cupnoodle.jp/) で発表される予定。

 総選挙には、香港の「XO醤シーフード」やドイツの「マッシュルーム」、ブラジルの「ブラジリアンBBQ」など、海外ならではのユニークなフレーバーが大集結した。フィリピン代表はニッシンURC製造のBatchoy(バツチョイ:フレーバーは揚げニンニク香る豚肉の煮込み)と、.Bulalo(ブラロ:フレーバーは濃厚牛肉煮込み)である。