比トヨタ、上半期純利益33%増の68億ペソ

2016/08/09

2015年の年間最高益102億ペソ更新期待
売上高33%増の713億ペソ、シェア38.5%に

 

 当地第2位(総資産ベース)の商業銀行であるメトロポリタンバンク&トラスト(メトロバンク)グループの持株会社GTキャピタル・ホールディングス(GTCAP)がトヨタ車事業を強化してきている。

   GTCAPは、トヨタ自動車のフィリピン拠点であるトヨタモーター・フィリピン(TMPC、所在地:ラグナ州サンタロサ市)の株式保有比率を51%に高めているほか、有力販社であるトヨタ・マニラベイ社(TMBC)のマジョリティーを保有している。さらに、2014年9月には、トヨタ・ファイナンシャル・サービス・フィリピン(TFSPC)株式40%を取得した。これらのトヨタ関連各社の業績が総じて好調に推移している。その中心であるTMPCの2016年上半期(1月~6月)の動向は以下のとおり。

 CTCAP事業報告書などによると、TMPCの今上半期の販売台数は卸売ベースで前年同期比31.4%増の7万4,451台、小売りベースで25.9%増の7万2,642台に達した。市場シェアは、第1四半期時点の35.8%から上半期末時点で38.5%へと上昇した。第1四半期は、人気車種であるSUV「フォーチュナー」とMUV「イノーバ」のフルモデルチェンジを控えての旧モデル買い控えで、TMCPとしては市場シェアがやや低下した。しかし、新型「フォーチュナー」が3月、新型「イノーバ」が4月に販売されたことで、第2四半期の販売台数が大幅増加、シェアも大幅に上昇した。

 したがって、今上半期の売上高は前年同期比33.4%増の712億6,610万ペソと好調であった(第1四半期は7.3%増収)。二桁増収効果に加え、値上げ、部品価格安定などの効果が為替損を大幅に上回ったことなどで、営業利益は同30.4%増の89億0,950万ペソ、帰属純利益は同33.1%増の68億1,600万ペソへと二桁増加した。。年間帰属純利益は2013年が前年比50%増の42億ペソ、14年が同71%増の72億ペソと連続で大幅増加した。そして、15年には同41%増の102億ペソへと急増、100億ペソの大台を突破したが、16年もその最高益を大幅に上回るペースとなっている。

 トヨタモーター・フィリピン(TMPC)の業績等の推移(単位:百万ペソ、16年上半期は速報値)

  2012年 2013年 2014年 2015年 16年上半期 上半期伸率
売上高 72,560.0 80,676.6 104,886.9 114,346.2 71,266.1 33.4%
粗利益 7,993.2 10,256.6 14,628.9 18,355.2 11,206.4 27.2%
営業利益 3,718.2 5,719.1 9,859.1 13,898.9 8,909.5 30.4%
帰属純利益 2,808.8 4,219.0 7,210.0 10,193.9 6,816.0 33.1%
総資産 21,035.9 23,750.0 26,706.7 32,290.3 35,889.3 11.1%
株主資本 8,053.2 9,285.9 11,927.0 15,229.4 12,246.0 -19.6%

 (出所:GTキャピタル事業報告書よりなど作成、総資産や株主資本は年末値または上半期末値)

 なお、TMPCは、1988年にトヨタ自動車のフィリピン車両製造/販売拠点として設立され、1989年から生産/販売を開始した。現行資本金は約24億ペソ(約58億円)、出資比率はトヨタ自動車34%、 三井物産15%、メトロバンク・グループ(GTCAP)51%となっている。従業員数は約2,000名に達している。
  現在、サブ・コンパクト・セダン「ヴィオス」や中型多目的車(MPV)「イノーバ」を現地生産しているほか、各種乗用車、商用車の輸入販売、国内向け部品販売、部品輸出などを手掛けている。また、販社「レクサス・マニラ」を通じて、ハイブリッド車を含む各種レクサス車の輸入販売を行っている。2009年1月に開業した「レクサス・マニラ」は三井物産との合弁企業であり、TMPCの出資比率は75%、三井物産の出資比率が25%となっている。