比パナソニック54%増益、4年間で純利益4.3倍に

2016/07/22

売上高21%増の81億ペソ、冷蔵庫比率が40.6%
輸出比率10.9%:16年年次報告書より

 

 パナソニックのフィリピンにおける製造・販売拠点であるパナソニック・マニュファクチャリング・フィリピンズ(PMPC、会計期末3月)は、7月18日、2015年度(2015年4月~2016年3月)の年次報告書を公表した。

 2015年度の業績については、株主総会通知に速報値が記載されていたが、年次報告書に記載された監査済み損益計算書においては、総利益などが若干修正されている、それによると、PMPCの2015年度の売上高は前年度比21%増の81億2,431万ペソに達した。堅調なフィリピンの内需、新製品投入、昨秋のクリスマス商戦に向けての早めの準備などにより二桁増収となった。 粗利益は同25.1%増の18億0,352万ペソ(粗利益率22.2%)、税引き前利益は同84.2%増の3億9,969万ペソへと急増した。税金費用も同173.5%増加したが、純利益は同54.4%増の2億5,096万ペソへと大幅増加した。

 PMPCの業績は、2000年代の一時期の低迷期を抜け出て、2010年代は下表のとおり上昇トレンドを続けている。2015年度の純利益は2011年度に比べ4.3へと急拡大している。PMPCは先頃、、主力の家電製品中心に拡販やシェア拡大を図ることで、年率20%の増収を続け、2018年度の売上高を2014年度比倍増の140億ペソ超とすることを目指すと表明した。特に、インバーター技術活用のエアコンや洗濯機の拡販を図っていく。また、市場シェア27%で首位となっている冷蔵庫についてもトップの座をさらに強固にする方針である。ちなみに、2015年度の純売上高のうち、冷蔵庫が40.6%、エアコンが36.0%を占めており、2011年度の各々27.8%、30.4%から上昇している。


 2015年度の国内売上比率は89.1%、輸出比率は10.9%。研究開発費は前年度比3.1倍の4,895万ペソ、研究開発費対売上高比率は0.60%で前年度の0.24%から大幅上昇した。2015年度末のフルタイム従業員数は555名となっている。なお、2016年4月7日現在の株主に対し、1株(額面1ペソ)当たり0.20ペソの現金配当を実施した。配当率20%ということになる。


 パナソニック・マニュファクチャリング・フィリピン業績推移(単位:万ペソ、14年度までは年間数値)

項目 11年度 12年度 13年度 14年度 15年度 前年度比
純売上高 594,273 640,939 659.639 671,343 812,434 21.0%
総利益 142,356 168,913 173,238 144,166 180,352 25.1%
税引前利益 8,712 16,247 20,152 21,695 39,969 84.2%
所得税費用 2,902 7,862 3,947 5,437 14,872 173.5%
純利益 5,810 8,384 16,205 16,258 25,098 54.4%

 (出所:PMPC年次報告書などから作成)


 パナソニック・マニュファクチャリング・フィリピンの製商品別売上構成比

製品 11年度 12年度 13年度 14年度 2015年度
冷蔵庫 27.8% 29.1% 33.2% 36.5% 40.6%
エアコン 30.4% 29.1% 37.9% 36.0% 34.8%
テレビ 5.0% 1.6% 1.9% 1.5% 1.1%
洗濯機 10.3% 10.0% 11.9% 11.6% 9.8%
その他&輸出 26.5% 30.2% 15.1% 14.4% 13.7%
合計 100.0% 100.0% 100.0% 100.0% 100.0%

 (出所:PMPC年次報告書などから作成)


 パナソニック・マニュファクチャリング・フィリピンの輸出比率など

区分 13年度 14年度 2015年度
国内売上比率 87.8% 90.3% 89.1%
輸出比率 12.2% 9.7% 10.9%
合計 100.0% 100.0% 100.0%

(出所:PMPC年次報告書などから作成)


パナソニック・マニュファクチャリング・フィリピンの研究開発費などの推移

製品 13年度 14年度 2015年度
研究開発費(万ペソ) 1,368 1,578 4,895
対売上高比率 0.21% 0.24% 0.60%

(出所:PMPC年次報告書などから作成)

 なお、PMPCの起源は、1963年5月に設立されたフェスティバル・マニュファクチャリング(FMC)である。FMCは1965年に、プレシジョン・エレクトロニクス(PEC)と社名変更した。このPECと松下電器産業(MEI、社名は当時)が1967年にフィリピンで合弁家電企業を設立した。当初の合弁企業名はPECだったが、25年後の1992年にマツシタ・エレクトリック・フィリピン(MEPCO)と変更された。さらに、2005年に現社名PMPCへと再変更された。すなわちパナソニックは、フィリピンで約50年もの長い歴史を有している。2017年には合弁企業創立50周年、2018年には本社パナソニックが創立100周年を迎える。

 この間、フィリピンで初めての非水銀電池やフロンガス不使用の冷蔵庫の生産、家電メーカーとして初めてとなるISO9002、ISO14001認証取得など輝かしい成果を上げてきた。また、フィリピン家電業界をリードする一方、社会貢献活動やパナソニックの「アジア大洋州エコアイディア宣言」に沿った環境保全活動なども推進している。

 PMPCは1983年1月にフィリピン証券取引所(PSE)に上場されている。現在、PMPCは額面1ペソの普通株式を約4億2,272万株発行している。そのうち、フィリピン人のみが投資可能なA株8,472万株が上場されている。浮動株比率は15.78%。日本のパソニック本社のPMPC保有比率は2016年6月末時点で79.96%である。パナソニック本社の保有するのはPMPCのB株である(16年7月19日提出のパナソニック・マニュファクチャリング・フィリピン2016年年次報告書などより)。