比セブンイレブン好調続く、上半期33%増益

2016/07/18

6月末1,740店に、1年間で335店(24%)増加
ルソン1,474店、ビサヤ203店、ミンダナオ63店

ミニストップ513店、ファミマ102店との差拡大

 

 フィリピンでもコンビニエンス・ストアが普及期を迎え、マニラ首都圏中心に競争が激化しつつある。現在は業界断トツのセ ブンイレブンをマーキュリー・セルフサービスやミニストップが追うという構図になっている。そして、2013年にはファミリーマートとサークルKが進出、 2015年3月にはローソンもフィリピン1号店をオープンした。 



 首位のセブンイ レブンは、台湾系のプレジデント・チェーン・ストア(ラブアン)ホールディングスが51.561%を所有(2016年6月末現在)するフィリピン・セブ ン社 (PSC)によって運営されている。PSCは1982年11月に設立され、同年12月に米国テキサス州ダラスのサウスランド社(その後セブン・イレブン 社に社名変更)からフィリピンでのセブンイレブン運営ライセンスを獲得、1984年2月にケソン市エドサ通り沿いにオープンした。その後、店舗網拡充に注力、2013年末に1,000店の大台を突破、2015年末には1602店に達し、フィリピンでのブランド・コンビニエンスストア店舗数シェア約50%を 誇っている。このPSCは1998年2月4日にフィリピン証券取引所(PSE)に上場した。

 2016年も店舗数が順調に増加ししている。今上半期(1月~6月)に148店をオープン、10店を閉鎖、138店の純増となった。この結果、6月末の店舗数は1,740店に達し、2015 年6月末の1,405店から335店、率にして24%の増加となっている。最近は地方へも積極進出している。1,740店の地方別内訳はマニラ首都圏 を含むルソン地方1,474店、セブを中心とするビサヤ地方203店、ダバオを中心とするミンダナオ63店となっている。

 PSCは、2016年にセブン・イレブン店舗数を400店純増(2015年は320店純増)させ、2016年末に2,000店体制とする方針である。し たがって、2016年の設備投資額も前年比4割増の35億ペソと高水準となる見込みである。下表の様に、店舗網拡充とともに業績も上昇基調を辿っている。

 7月18日発表の速報値では、PSCの2016年上半期(1月~6月)の全店売上高は前年同期比27.2%増の154億5,920万ペソ、商品売上高は同37.5%増の139億2,300万ペソ、営業利益は同32.2%増の6億9,380万ペソ、純利益は同32.5%増の4億7,230万ペソに達した。1株当たり純利益(EPS)も同32.1%増の1.03ペソとなった。新店効果や選挙特需などで、地方でのネットワーク構築コスト増などを完全にカバー、二桁増収増益となった。


フィリピンのセブン・イレブン店舗数(年・月末)と純利益(単位:百万ペソ)推移推移

時期 06年 07年 08年 09年 10年 11年 12年 13年 14年 15年 16年6月
店舗数 287 311 368 447 551 689 829 1,009 1,282 1,602 1,740
純利益 20.1 54.8 84.3 155.8 276.9 356.3 465.2 682.6 873.3 1,080.3 472.3

(出所:フィリピン・セブン資料などより作成)


フィリピンの主な日系コンビニ店舗数(比セブンイレブンは直接的には台湾プレジデント・チェーン・ストアの傘下)

年・月 12年末 13年末 14年末 15年3月末 6月末 9月末 12月末 16年3月末 6月末
セブンイレブン 829 1,009 1,282 1,341 1405 1,480 1,602 1,655 1,740
ミニストップ 337 386 454 472 495 511 519 519 513
ファミリーマート 0 31 87 95 105 113 120 104 102

(出所:各社資料より作成、ミニストップ、ファミリーマートは日本側発表数値)

 このような好調なセブンイレブンを後続コンビニが追撃しようとしているが、セブンイレブンの動きの方が早く、現時点では店舗数差は上表のように拡大傾向 にある。特に、今上半期、店舗数が減少しているミニストップやファミリーマートとの差が広がっている(16年7月18日のフィリピン証券取引所回覧04177-2016号などより)。