日揮 ミンダナオで石炭火力発電所受注

2016/07/08

豊田通商とアルソン合弁の低公害CFB型

 

 日揮(JGC)は、現地法人であるJGCフィリピン社(JGC PHILIPPINES, INC.)と共同で、サランガニ・エナジー社がミンダナオ島サランガニ州において進めている火力発電所建設プロジェクトの第二期工事を受注した。その概要は以下のとおり。


1.契約先
サランガニ・エナジー社(Sarangani Energy Corporation)
(出資者:アルソンズ コンソリデイティド リソース社(ACR)75%、豊田通商25%)
2.建設場所
ミンダナオ島サランガニ州マーシム
3. 契約内容
 210MW(105MW×2系列)の発電能力を持つ火力発電所の第二期工事(105MW×1系列)に係わる設計、機材調達、建設工事および試運転(EPCC)役務
4. 契約形態
 ランプサム契約
5. 受注金額
 非公表
6. 納期
 2019年4月末を予定

 フィリピンでは人口増加や安定した経済成長に伴い、電力需要が年々増加傾向にある、中でもミンダナオ島は電力需給が逼迫しており、新たな電源開発が急務となっている。当プロジェクトは、210MW(105MW×2系列)の発電能力を持つ石炭火力発電所の第二期工事であり、発電される電力はミンダナオ島内のサランガニ州や島内の主要都市であるジェネラルサントス市に供給され、同地域の産業発展と住民生活の安定に貢献することが期待されている。

 当プロジェクトでは、循環流動層ボイラー(Circulation Fludized Bed Boiler=CFB)を採用、低温での二段階燃焼を行い、大気汚染物質である窒素酸化物(NOx)や硫黄酸化物(SOx)の生成を抑制し、さらに、排ガスに含まれる煤塵を適切に回収、処理するなど自然環境に配慮した設計を行っていく。

 JGCフィリピン社は1989年に設立され、日揮が受注したプロジェクトの詳細設計拠点として活動してきたが、近年は蓄積した知見を活かしフィリピン国内のEPC案件を独自に遂行している。日揮のプロジェクトマネジメント能力とJGCフィリピン社が有するフィリピン国内の知見を活かし、グループとしてのシナジーを発揮することで当プロジェクトを成功裏に完成させ、同国のみならず、世界における当社グループの事業拡大を目指していく。

 一方、比日経済委員会委員長などを務めてきたトーマス・アルカンタラ氏率いるアルソンズ・コンソリデイティド・リソース(ACR)は、主力事業の一つである発電事業の拡充を推進中。ACRの主な事業基盤はミンダナオである。供給不足問題が深刻化しつつあるミンダナオの電力事情改善のため、ACRはミンダナオでの発電所建設に注力する方針である。その一方、環境問題にも対応していく必要がある。

 ACRの発電事業の戦略の一つは、環境汚染の少ない循環流動層ボイラー(CFB)石炭火力発電所を建設することである。火炉内での燃焼温度は、一般的なボイラーが1,400~1,500℃であるのに対し、循環流動層ボイラーでは850~900℃と低いため、窒素酸化物や硫黄酸化物の生成量を抑制できる。また、広範な燃料燃焼が可能である。ACRはこのようなCFB発電所への転換・建設により、環境 汚染軽減や発電能力・効率性の向上、低コスト化を目指す。

 その一環としてACRは、上記の様に、サランガニ・エナジー社(サランガニ社)を通じて、ミンダナオ島サランガニ州マーシムに合計210メガワット(MW)のCFB石炭火力発電所を 建設しつつある。2012年末には、このサランガニ社への豊田通商25%出資合意書署名が行われた。その結果、サランガニ社は現在、豊田通商によって 25%、ACRに75%所有されている。豊田通商は25%資本参加することで、ミンダナオでの環境保全型発電事業に参画している。

 なお、日揮は、去る5月に発表した新中期経営計画「Beyond the Horizon」において、オイル&ガス分野以外のエネルギーインフラ、ならびに産業インフラ、社会インフラへの事業領域の拡大を基本方針として掲げている。今回の受注を足掛かりに、エネルギーインフラにおける発電分野への本格的な進出を加速させ、今後も成長・拡大が見込まれるASEAN地域の発展に貢献して行く方針である。(16年7月7日の日揮株式会社ニュースリリースなどより)。