ライオンがフィリピン撤退、合弁解消へ

2016/07/03

有力内需型企業進出も4年で撤退決定

 

 ライオン株式会社(ライオン)は、6月30日開催の取締役会において、フィリピン連結子会社であるピアレスライオンのライオン保有株式全てを、合弁相手先であるフィリピンのピアレス・プロダクツ・マニュファクチャリング・コーポレーション(ピアレス社)に譲渡し、合弁契約を解消することを決議した。



<合弁契約解消の理由>
 ライオンは、2012年6月にフィリピンにおいて、ピアレス社との合弁によりピアレスライオンを設立し、シャンプー等を中心とした事業を行ってきたが、事業の軌道化が当初の想定より遅れており、早期の収益化が困難であることから、ピアレス社との合弁契約を解消することとした。

<合弁契約解消の内容>
 ライオンが保有するピアレスライオンの全株式(発行済み株式全体の51.0%)をピアレス社へ譲渡し、合弁契約を解消する。なお、ピアレスライオンは債務超過状態にあるため、ライオンとピアレス社が、債務超過額相当分の債務の代位弁済を行うことで債務超過状態を解消し、ライオンは、ピアレスライオンに対して債権放棄をした後、全株式を譲渡する。

<合弁会社の概要>
名称:ピアレスライオン株式会社
事業内容:シャンプー等の製造販売、歯磨、ハブラシ等の販売
所在地:マニラ首都圏マカティ市
代表者:Simeon C. Tiu氏
資本金:6.0億ペソ(約14.3億円)
出資比率:ライオン51.0%、ピアレス社 49.0%
売上高:4億6,000万ペソ(約11億円:2015年12月期)

<譲渡株式および譲渡価格>
異動前の所有株式数:306,000,000株(出資比率 51.0%)
譲渡株式数:306,000,000株(譲渡価格 1ペソ)
異動後の所有株式数: 0株(出資比率 0.0%)

<株式譲渡先および合弁解消先の概要>
名称:ピアレス・プロダクツ・マニュファクチャリング・コーポレーション
事業内容:洗濯用洗剤、界面活性剤の製造・販売
設立年:1963年
所在地:マニラ首都圏 バレンズエラ市
代表者:Simeon C. Tiu氏
資本金:9,200万ペソ(約2億2,000万円)

<今後の日程(予定)>
株式譲渡契約締結:2016年年7月 1日
株式譲渡:2016年7月14日

<今後の見通し>
 ライオンは、前期決算において損失を計上していたため、2016年12月期の個別および連結業績への影響は軽微である。

 なお、ライオンは、2011年10月28日開催の取締役会において、フィリピンへの事業参入のためピアレス社との間でピアレスライオンを設立することを決議、上記の様に2012年から事業を開始した。ライオンはフィリピンが、(1)出生率がアジアの中でも高く(2.4%)、30歳以下の人口が6割であること、(2)ASEAN主要国で最も高い経済成長性を有していることなどから、フィリピン市場への参入を検討、そして、現地における洗剤・界面活性剤の製造販売ノウハウおよび小売業に対する幅広い流通網を持つピアレス社をパートナーとして、合弁会社を設立し、フィリピン市場に参入することを決定したという経緯がある。

 すなわち、合弁相手の現地企業のネットワーク活用で現地向け販売を目指すという、旺盛なフィリピン内需を狙うタイプの進出であった、有力内需型企業の進出であり注目度も高かったが、事業の軌道化が当初の想定より遅れていることで4年間で撤退決定という結果となった(16年6月30日のライオン株式会社プレスリリースより)。