ドミンゲス新財務相、29日にRCBCにて講演

2016/06/30

短期的課題は税改革やインフラ整備など

 

 本日発足のドゥテルテ新政権のもとで、財務相を務めるのはカルロス・ドミンゲス元農業相である。

 6月29日、有力銀行であるリサール商業銀行(RCBC)は、ドミンゲス新財務相の講演会とカクテルパーティーを開催した。ラモス元大統領も参加した。ドミンゲス新財務相は長らくRCBCキャピタルの会長やその他多くの金融機の要職を歴任するなど財界、農業相歴任など政界、双方でのキャリア・経験を有する人物である。

 ドミンゲス新財務相は、既にドゥテルテ新大統領が表明した下記のような経済アジェンダにそった今後の政策などについて説明した。
・現行のマクロ経済政策の継続・維持(徴税機関の改革断行という条件付き)
・官民連携(PPP)主導でインフラ整備推進<インフラ支出対国内総生産(GDP)比率5%維持>
・外資直接投資拡大のため外資規制を規定する憲法条項緩和
・効率性向上など農業戦略実施(小規模農家支援、地方振興)
・国土関係行政を改善し土地保有の安全性・確実性・担保性を向上させる
・基礎教育制度強化や産業界ニーズにもマッチするような教育改革や奨学金拡充
・インフレ率を反映させるような税制システムへの改善
・教育推進や母体健康を目的とした条件付き現金給付(CCT)制度の改善や拡充

 そのなかで、特に、短期的な課題として挙げたのは、真の官民連携(PPP)主導によるインフラ整備推進(インフラ支出対国内総生産(GDP)比率5%維持)と税制改革・税収向上などである。

 特に、税収に関しては、フィリピンは周辺国などに比べ税率は総じて高い(VATは12%)一方、タックス・エフォートは低水準であるという状況の改善が急務であると協調した。フィリピンのタックス・エフォート(税収対GDP比率)の近年のピークは、ラモス政権時代の1997年の17%超であったものが最近は12%~13%の推移ににとどまっている。税制改革、徴税効率化・公平化によって、まず、近年のピークである17%台への復帰を目指すとのことでもある。