双日、東南アジア最大級の高度化成肥料事業

2016/06/28

フィリピン拠点はアトラスファーティライザー社

 

  双日はタイ、フィリピン、ベトナムの3カ国でそれぞれ事業会社を設立し、高度化成肥料の製造・販売を行っている。

 3社の製品は、それぞれの国においてトップシェアを誇っており、双日は東南アジア最大規模の化成肥料製造・販売グループを形成。需要増加の著しいアジアにおける食料増産を単収(単位当たり収量)増加、労働力軽減の面から支えている。

 タイでのスタートは1973年。タイでの肥料製造会社TCCC(Thai Central Chemical Public Company Ltd.)の設立。タイは稲作を中心とした農業国で肥料需要の更なる増加も見込めたため、合弁会社の設立に踏み切った。これは総合商社初の試みであった。以降、1995年にフィリピン、ベトナムへと拠点を拡大。高い品質を武器に、今では各国でNo.1の市場シェアを占めるに至っており、米用を中心にコーヒー、茶、果物用など多様な製品を供給している。

 1973年の設立当初は10万トンだったTCCCの生産量は、工場の新設・増強を重ね、現在では年120万トン。民間の肥料会社としては東南アジア最大を誇る。TCCCが製造した肥料は、約400のディーラーを通じてタイ国内で販売されており、農作物の収穫増はもとより、それまで輸入に頼っていた肥料を国産化したことで、タイ経済にも大きく貢献している。

 フィリピンにおける肥料事業の拠点はアトラスファーティライザー社(アトラス社、本社:マニラ首都圏マカティ市、工場:セブ・トレドなど)である。アトラス社は、アトラス・コンソリデイティド・マイニングのセブ州トレド銅鉱における副産物の黄銅鉱を肥料原料である硫酸へ活用する事業としてスタートした。そして、1957年10月に、Aソリアノ社(アンスコア)グループ傘下企業としてアトラス社が創設され。アトラス社は58年の歴史を有するのである。1994年には日商岩井(現在の双日)とAソリアノ社との合弁企業となり、2001年には日商岩井が買収、現在に至っている。すなわち、現在は双日傘下にある。

 現在、アトラス社は、フィリピンのNP(窒素・リン酸)、NK(窒素・カリウム)、NPK(窒素・リン酸・カリウム)肥料市場において42%のシェアを誇るトップ企業となっている。2005年に比べ販売数量は50%と増加しており、現在の年間生産能力は34万トンに達しているとのことである(双日のホームページや資料などより)