フィリピン起源のIT企業AWSが上場、高人気
2016/06/23
2日目に初値、公開値の3.4倍の8,350円に
比事業牽引、今期17%増収16%経常増益予想
2016年6月21日(火)に、フィリピンを主要開発拠点とするIT企業AWSホールディングス(AWS、本社:東京都文京区)が、東京証券取引所マザーズ市場へ新規上場された。1株当たり新規公募価格(公開値)は2,490円であった。
上場初日は買い気配が続き取引が成立しなかった。初日の最終気配値は公開値の2.3倍の5730円だった。2日目の22日に商いが成立、初値は公開値の3.4倍の8,350円、高値は9,290円、安値は7,120円、終値は同3.1倍の7,600円と人気化した。
AWSグループはこれまで20年間に渡りフィリピンオフショア市場を創造し続け、大手国際展開企業との直接取引の拡大が奏功し、テスティング及び組み込み系システム開発の分野で最大のシェアを獲得、同分野において確固たる地位を確立してきた。
更に、これまでの開発実績をベースに、新たな事業領域(医療・金融・エネルギー)への取り組みを拡大、2012年12月に医療事業分野ならびに今後の国内事業展開を担う「中核」として株式会社エーアイエスをグループに加え、医療分野でのビジネス戦略を積極的に推進する体制を整えてきた。エーアイエスは1999年に医療機関に向けて日本初のレセプト点検専用ソフトを開発、同マーケットを創造してきている。
AWSの前身は、APTiフィリピン(APTiは日本IBMと東芝テックの合弁会社)であり、1993年に、PEZA(フィリピン経済区庁)の登録のもとフィリピンのラグナで正式に業務を開始した。1997年にはフィリピンのコングロマリットであるアルカンタラ・グループとの合弁で、子会社Alsons/APTi information Systems,Inc.(AAISI)を設立、モバイルデバイスの品質管理及びソフトウェア開発(ラップトップ、携帯電話等)、POS用ミドルウェア開発、ビジネスアプリケーション ソリューション開発、マルチファンクションプリンタ向けのマイクロコード、デバイスドライバーの開発などへと事業を拡大した。
2003年には社内日本語研修センター『ACTION』設立、2005年に株式会社WCLのグループ会社となり、「株式会社AWS」を設立した。そして、2007年にWCLグループから独立し、独立資本の会社となった。そして、20年以上に渡るフィリピンでのオフショア開発実績をベースに多様な事業基盤を築いてきている。
現在のAWSの事業は、「グローバル事業」、「メディカル事業」、「エンタープライズ ソリューション事業」に大別される。マニラ首都圏マカティ市、アラバン、セブに開発拠点を有している。このほか、日本、中国・北京、香港にも拠点を有している。
グローバル事業においては、AWSグループが20年以上にわたって事業の基盤を有するフィリピンが、オフショア開発における「中国+1(チャイナ・プラスワン)」の候補地としての注目を集め、依然として高い需要が続いている。そのなかでも、英語と日本語のバイリンガルな環境で開発を行うことができるAWSグループの重要性はますます高まっており、引き続き、銀行・証券等の金融業界及び製造業を中心にオフショア開発案件が増加しているとのことである。また、円安基調から円高基調へ為替相場が転換したことにより、人件費等のコストの高止まりは解消されつつあるとのことである。
AWSは2017年3月期の業績に関しては、フィリピンでの開発事業が一段と拡大しそうなことなどから、売上高は前期比17.3%増の34億3,428万円、営業利益は同40%増の2億7,121万円、経常利益は同16.2%増の2億7,063万円、親会社株主に帰属する当期純利益は1億6,705万円(前期は475万円の純損失)と増収増益を予想している。
主力のグローバル事業の売上高は同15.9%増の21億9,503万円を見込んでいる。グローバル事業の売上高は、既受注案件及び見積もり合意案件については受注額及び見積額を採用している。具体的には、開発人数と人月単価を掛け合わせた案件の積上げにより策定している。2017年3月期は主要拠点であるフィリピンにおいて延べ5,099人月(前年同期比19.7%増)を計画しているとのことである(16年6月21日の株式会社AWSホールディングスのニュースリリースより)。