5月の外人金融投資、7,300万ドルの買い越し

2016/06/17

選挙投票まで売越し、新政権確定後は買い先行
年初5カ月間では1億3千万ドルの買い越しに

 

 フィリピン中央銀行(BSP)は6月16日、2016年5月及び年初5カ月間(1~5月)の海外からのポー トフォリオ投資(証券投資等の間接投資)勘定の速報値を発表した。海外からのポートフォリオ投資としてカウントされるのは、非居住者によるポートフォリオ投資動向であり、証券取引所(PSE)を通じてのフィリピン株式、ペソ建て債券、銀行でのペソ建て預金、マネーマーケット投資などが含まれる。

 5月の海外からのポートフォリオ投資勘定は7,300万米ドルの純流入となり、前月及び前年同月の売り越しから買い越しに転じた。

 証券などの取得総額(グロス)は前月比40.1%増、前年同月比12.3%増の17億8,500万米ドルと二桁増になった。持ち株会社・ユニバーサル銀行(拡大商業銀行)株の大量取得、ペソ建て国債への新たな関心、比較的平和裏に終了した選挙等が寄与した。

 主な投資対象は PSE上場企業株式(持ち株会社、不動産会社、銀行、食品・飲料・タバコ企業、通信会社)(シェア83.8%)、ペソ建て国債(16.2%)など。対フィリピン投資国上位5カ国は英国、米国、シンガポール、ルクセンブルク、スイスで、 全体の84.8%を占めた。

 一方、 5月の処分総額は前月比5.1%増、前年同月比20.7%減の17億1,200万米ドルであった。

 2016年年初5カ月間の海外からのポートフォリオ投資勘定は前年同期比88.9%減の1億2,900万米ドルの買い越し。中国経済の鈍化に対する懸念や国際石油価格の下落、利食い売りが活発化したことで、前年同期から大幅な減少となった。

 証券などの取得総額(グロス)は前年同期比35.9%減の66億3,700万米ドル。一方、処分総額は29.2%減の65億0,800万米ドルであった(16年6月16日のフィリピン中央銀行発表より)。


海外からのポートフォリオ投資(証券等の金融市場投資)勘定 (単位:百万米ドル)

期間 16年 15年 対前月伸率 対前年伸率 16年 15年 伸率
5月 4月 5月 1-5月 1-5月
取得総額 1,785 1,274 1,590 40.1 12.3 6,637 10,353 -35.9
処分総額 1,712 1,628 2,159 5.1 -20.7 6,508 9,193 -29.2
純流入額 73 -354 -569 純流入に転換 純流入に転換 129 1,160 -88.9

(出所:フィリピン中央銀行資料より)