佐川急便、フィリピン宅配最大手LBCと提携

2016/06/10

比現地輸送までの一貫物流サービス体制構築

 

 佐川急便を傘下に有するSGホールディングス・グループの海外事業統括会社、SGホールディングス・グローバル社は、フィリピン大手物流企業LBC エクスプレス社と、フィリピン国内のデリバリーおよびロジスティクス事業領域において業務提携契約を締結した。

 フィリピンはアセアン経済共同体の主要国で英語を公用語とすることから、グローバル企業のバックオフィスの設立が加速化すると共に大型インフラ投資がさらに見込まれ、経済成長や中間層の大幅な増加が期待される。

 今回の提携により、SGホールディングス・グループの現地法人である「佐川急便フィリピン」で展開しているフレイト・フォワーディング、国際エクスプレス事業とLBC エクスプレス社の有する国内デリバリー、ロジスティクス事業の機能を一体化させることで、川上から川下への一貫物流サービスをさらに拡充していく。

 また、SGホールディングス・グループが日本をはじめとして各国で展開している事業・運営のノウハウをLBC エクスプレス社に提供し、協力して顧客サービスの向上を推進していく方針でもある。

<LBC エクスプレス社概要>
英文社名 : LBC Express, Inc.
設立 : 1945年
本社 : マニラ
社長 : Mr. Mike A. Camahort
従業員数 : 6,000名以上
拠点 : 1,100拠点以上、フィリピン全土をカバー
事業内容 : 国内デリバリー、国内エクスプレス、倉庫事業
(16年6月10日のSGホールディングスのニュースリリースより)。

 なお、LBC エクスプレス社グループは2015年に、バックドア・リスティング(裏口上場)というかたちで、フィリピン証券取引所に上場された。具体的には、未上場企業であったLBCデベロップメント(LBCD、現LBCエクスプレス・ホールディングス、LBCエクスプレス社の親会社)が、上場企業ではあったがほぼ休眠会社となっていたフェデラル・リソース・インベストメントグループ(FED)を株式交換方式で実質買収・合併し、上場ステータスを有するFEDを名目上の存続会社としたというものである。これにより、非上場ではあったが、フィリピン最大の宅配便企業であるLBCエクスプレス社の親会社LBCデベロップメントが、通常の新規上場手続きを経ないで一気に上場企業となったのである。

 アラネタ・ファミリーのLBCD(現LBCエクスプレス・ホールディングス)傘下のLBCエクスプレス社は、1950年代に 航空貨物代理店として設立。その後、フィリピン国内において現金および一般貨物の輸送を開始し、現在ではフィリピン国内最大規模の1,100以上の拠点とアメリカ・カナダを中心に60以上の拠点を有する最大級の宅配便企業となっている。

 一方、FEDは1993年にフェデラル・ケミカルとして設立され、粘着テープや封止材などの製造販売を開始、2001年12月21日にPSEに上場された。そして、2007年9月に、事業の主目的を製造から持株会社へと変更するとともに、社名を現行のフェデラル・リソース・インベストメントグループ(FED)へと変更した。

 FEDは、LBCDにに実質買収された後の2015年9月開催の取締役会において、①授権資本額をそれまでの1億ペソから30億ペソへと30倍に拡充、②社名を「フェデラル・リソース・インベ ストメントグループ」から「LCBエクスプレス・ホールディングス」へと変更、③これらや業務に関する定款変更、④アラネタ・ファミリーからの取締役就任などを承認した。

 証券取引委員会(SEC)は2015年10月12日付けで、上記の「LCBエクスプレス・ホールディングス」への社名変更などの定款変更を行うことを承認した。これにより、LBCDの「LCBエクスプレス・ホールディングス」としてのスタートとPSE上場が実現したといえる。