首都圏オフィス、供給増も賃貸料は上昇続く
2016/06/09
マカティ市高級物件1年間で6%上昇との予想
国際的な総合不動産 コンサルティング企業であるコリアーズ・インターナショナル(コリアーズ)は6月8日、フィリピン・マニラ首都圏の2016年第1四半期(1月~3月)の不動産市場動向及び今後の見通しを発表した。
堅調なマクロ経済基盤に加え、BPO(業務アウトソーシング)市場における高いオフィス需要が、不動産部門の成長を支えている。当期にマニラ首都圏で7 ビルが完成し、約15万6,000平米のオフィススペースが供給された。内訳は、3ビル(BGCコーポレートセンター、ボニファシオ・ストップオーバー、 アップタウン・プレイス・タワー2)がフォート・ボニファシオ(BGC)地区で、供給されたオフィススペースは合計8万1,700平米。2ビルは北エド サ・トライアングル地区で、供給されたオフィススペースは合計5万7,700平米。1ビル(AOユナイテッド生命ビル、総床面積5,100平米)がマカ ティ地区、残り1ビル(サウスキー・ビル、総床面積1万1,700平米)がアラバン地区。
第1四半期のマカティCBDのオフィス空室率(全体)は1.7%で前期から低下した。高級物件(プレミアムクラス)は相変わらず人気が高く、空室率は 0.3%と横ばい。フィラムライフ・タワーの空室率上昇を入居者の増えたエンタープライズ・センターが相殺した。また、Aクラスの物件は、アヤラ生命・ FGUインシュアランスセンターとペトロン・メガプラザの高い需要により、空室率は4.6%に低下した。
当期、マニラ首都圏の主要ビジネス地区のオフィス賃貸料は伸び悩み、0.2~0.8%上昇にとどまった。マカティ中央ビジネス区(CBD)の高級物件 (プレミアムクラス)の平均賃貸料は1平米1,280ペソ、前期から0.8%値上がりした。一方、Aクラスの1平米当たりの平均賃貸料は前期比0.2%増 の915ペソ、Bクラスは0.3%増の719ペソであった。一方、BGCでは、Aクラスの1平米当たりの平均賃貸料は前期比1.2%増の894ペソ、Bク ラスは1.0%増の761ペソであった。オルティガス・センターでは、Aクラスの1平米当たりの平均賃貸料は前期比0.5%増の663ペソ、Bクラスは 0.3%増の581ペソであった。
コリアーズは、今後12カ月間(17年第1四半期)では高級物件、A・Bクラスともに賃貸料が4.6%~6.0%値上がりすると予想している(16年6月8日のコリアーズ・フィリピンズ発表より)。
マカティCBDオフィス平米当たり月間賃貸料(単位:ペソ/平米)
物件タイプ | 15年4Q | 16年1Q | 対前期伸び率 | 17年1Q(予) | 年間変化率予想 |
プレミアム | 1,120~1,420 | 1,130~1,430 | 0.8% | 1,190~1,520 | 6.0% |
Aクラス | 720~1,100 | 730~1,110 | 0.2% | 760~1,160 | 4.6% |
Bクラス | 595~839 | 597~840 | 0.3% | 630~890 | 5.8% |
(注:正味使用可能面積に基づいて算出)
マカティCBDオフィス空室率
物件タイプ | 15年4Q | 16年1Q | 17年1Q(予) |
プレミアム | 0.3% | 0.3% | 1.1% |
Aクラス | 6.1% | 4.6% | 5.5% |
Bクラス以下 | 1.1% | 1.1% | 1.5% |
全クラス | 2.0% | 1.7% | 2.0% |
マニラ首都圏のオフィスストック&新規供給予想(正味使用可能面積、単位:平米)
地区 | 14年末総面積 | 15年供給 | 16年供給 | 17年供給 | 18年供給 | 19年供給 | 合計 |
マカティCBD | 2,862,118 | (9,084) | 5,143 | 19,900 | 40,300 | 12,240 | 2,930,618 |
オルティガス | 1,298,773 | 81,509 | 59,353 | 15,767 | 47,068 | 174,500 | 1,676,969 |
BGC | 984,802 | 185,701 | 318,967 | 404,097 | 200,797 | 38,066 | 2,132,431 |
イーストウッド | 300,264 | - | - | - | 28,220 | - | 328,484 |
アラバン | 378,271 | 18,270 | 35,562 | 86,156 | 58,271 | - | 576,530 |
マンダルーヨン | 284,550 | - | - | 114,576 | - | 72,900 | 472,026 |
北エドサ三角地帯 | 336,546 | 5,681 | 101,414 | 134,587 | 91,230 | 80,240 | 749,699 |
パサイ市埋立地 | 186,203 | 71,219 | 81,898 | 25,385 | 64,590 | 72,900 | 502,195 |
その他 | 399,886 | 126,867 | 38,020 | 117,720 | 228,907 | 39,245 | 950,656 |
合計 | 7,031,413 | 480,164 | 640,367 | 918,189 | 759,383 | 490,092 | 10,319,608 |
(その他:マニラ、パサイ、ケソン市)
マカティCBDオフィス資本価値(利用可能エリア)(単位:万ペソ/㎡ )
物件タイプ | 15年4Q | 16年1Q | 対前期伸び率 | 17年1Q(予想) | 年間変化率予想 |
プレミアム | 15.4~17.9万 | 16.1~18.8万 | 4.8% | 17.6~20.5万 | 8.8% |
Aクラス | 9.0~12.8万 | 9.5~13.5万 | 5.6% | 10.4~14.9万 | 1.0% |
Bクラス | 6.6~9.6万 | 6.9~10.0万 | 5.0% | 7.6~11.0万 | 9.9% |
(上記の表は全てコリアーズ・インターナショナル資料より作成、予想も同社によるもの)