比パナソニック好調続く、16年度は30%超の増収に

2016/05/31

15年度は21%増収54%増益、18年度に年商140億ペソへ

 

 パナソニックのフィリピンにおける製造・販売拠点であるパナソニック・マニュファクチャリング・フィリピンズ(PMPC、会計期末3月)の業績が上昇トレンドを辿っている。2016年次株主総会通知に記載されている2015年度(2015年4月~2016年3月)業績速報値を含めた最近の業績推移は以下のとおり。

パナソニック・マニュファクチャリング・フィリピン業績推移(単位:万ペソ)

項目 11年度 12年度 13年度 14年度 15年度 15年度伸び率
純売上高 594,273 640,939 659.639 671,343 812,434 21.0%
総利益 142,356 168,913 173,238 142,566 183,534 23.7%
税引前利益 8,712 16,247 20,152 21,695 39,969 84.2%
所得税費用 2,902 7,862 3,947 5,437 14,872 173.5%
純利益 5,810 8,384 16,205 16,253 25,098 54.4%

 (出所:PMPC年次株主総会通知書などから作成)

 既報のとおり、速報値によると、PMPCの2015年度の売上高は前年度比21%増の81億2,431万ペソに達した。堅調なフィリピンの内需、新製品投入などにより二桁増収となった。 粗利益は同23.7%増の18億3,534万ペソ(粗利益率22.6%)、税引き前利益は同84.2%増の3億9,969万ペソに達した。税金費用も同173.5%増加したが、純利益は同54.4%増の2億5,096万ペソへと大幅増加した。

 PMPCの業績は、2000年代の一時期の低迷期を抜け出て、2010年代は上昇トレンドを続けている。このほど、2016年度についても30%超の増収が見込めると表明している。製品別では、冷蔵庫が25~30%増、エアコンが20~25%増、洗濯機が同15~20%増。その他、小型台所製品、オーディオ・ビジュアル製品、美容製品、企業向け製品などが伸びると予想している。

 今年年初にPMPCは、主力の家電製品中心に拡販やシェア拡大を図ることで、年率20%の増収を続け、2018年度の売上高を2014年度比倍増の140億ペソ超とすることを目指すと表明している。特に、インバーター技術活用のエアコンや洗濯機の拡販を図っていくとコメントしている。また、市場シェア27%で首位となっている冷蔵庫についてもトップの座をさらに強固にする方針である。2016年度はこの年率20%という目標を大幅に上回る増収ペースとなる可能性がある。

 なお、PMPCの起源は、1963年5月に設立されたフェスティバル・マニュファクチャリング(FMC)である。FMCは1965年に、プレシジョン・エレクトロニクス(PEC)と社名変更した。このPECと松下電器産業(MEI、社名は当時)が1967年にフィリピンで合弁家電企業を設立した。当初の合弁企業名はPECだったが、25年後の1992年にマツシタ・エレクトリック・フィリピン(MEPCO)と変更された。さらに、2005年に現社名PMPCへと再変更された。すなわちパナソニックは、フィリピンで約50年もの長い歴史を有している。

 PMPCは1983年1月にフィリピン証券取引所(PSE)に上場されている。現在、PMPCは額面1ペソの普通株式を約4億2,272万株発行している。そのうち、フィリピン人のみが投資可能なA株約8,472万株が上場されている。浮動株比率は14.91%。日本のパソニック本社のPMPC保有比率は2016年3月末時点で79.9574%である。パナソニック本社の保有するのはPMPCのB株である(16年5月30日のフィリピン証券取引所回覧03111-2016号などより)。