比トヨタ・ファイナンシャル、事業拡大続く

2016/05/20

第1四半期の金融収入15%増の7億2千万ペソ

 

  当地第2位(総資産ベース)の商業銀行であるメトロポリタンバンク&トラスト(メトロバンク)グループの持株会社GTキャピタル・ホールディングス(GTCAP)がトヨタ車事業を強化している。

 GTCAPは、トヨタ自動車のフィリピン拠点であるトヨタモーター・フィリピン(TMPC)の株式保有比率を51%に高めているほか、有力販社であるトヨタ・マニラベイ社(TMBC)やトヨタ・クバオ社(TCI)のマジョリティーを保有している。さらに、2014年9月には、トヨタ・ファイナンシャル・サービス・フィリピン(TFSPC)株式40%を取得した。

 現在のTFSPC株式保有比率はトヨタ・ファイナンシャル・サービス60%、GTCAP40%となっている。

 このトヨタ・ファイナンシャル・サービス・フィリピン(TFSPC)の2016年第1四半期(1月~3月)の総金融収入は前年同期比15.2%増の7億1,660万ペソへと二桁増加となった。銀行やその他の金融機関等との競争が激化しているが、新規融資対象車両数は同5.3%減の5,024台へと増加した。第1四半期末の融資残高は前年同期末比15.2%増の340億ペソに達している。

 営業費用が17.7%増加したこと、貸し倒れ引き当てが29%増加したことで、純利益は同5.8%減の1億6,490万ペソへと小幅減少したが、業容は順調に拡大していると言えよう。下表の様に、年間ベースでは、収益、資産共に拡大基調を辿っている。

 トヨタモーター・フィリピン(TMPC)の業績推移(単位:百万ペソ、16年第1四半期は速報値)

  2013年 2014年 2015年 16年第1四半期 伸び率
金融収入 1.704.6 2,234,7 2,828.2 716.6 15.2%
純営業利益 901.1 952.1 1,209.3 N.A. N.A.
純利益 436.7 398.0 515.1 164.9. -5.8%.
融資残高 20,301.8 28,357.0 33,304.4 34,000.0 17.5%
総資産 29,577.4 39,424.8 44,278.4 N.A. N.A.
株主資本 2,725.6 3,842.7 4,369.4 N.A. N.A.

(出所:GTキャピタル年次報告書や事業報告書より作成、総資産や株主資本は年末値または四半期末値値)

 既報のとおり、トヨタモーター・フィリピン(TMPC)の今第1四半期の売上高は前年同期比7.3%増の262億ペソ、帰属純利益は同17.5%増の28億ペソへと二桁増加した。年間帰属純利益は2013年が前年比50%増の42億ペソ、14年が同71%増の72億ペソと連続で大幅増加した。そして、15年には同41%増の102億ペソへと急増、100億ペソの大台を突破したが、16年もその最高益を上回るペースとなっている。

 参考の為再掲:トヨタモーター・フィリピン(TMPC)の業績推移(単位:百万ペソ、16年第1四半期は速報値)

  2012年 2013年 2014年 2015年 16年第1四半期 伸び率
売上高 72,560.0 80,676.6 104,886.9 114,346.2 26,200 7.3%
粗利益 7,993.2 10,256.6 14,628.9 18,355.2 N.A. N.A.
営業利益 3,718.2 5,719.1 9,859.1 13,898.9 N.A. N.A.
帰属純利益 2,808.8 4,219.0 7,210.0 10,193.9 2,800 17.5%
総資産 21,035.9 23,750.0 26,706.7 32,290.3 N.A. N.A.
株主資本 8,053.2 9,285.9 11,927.0 15,229.4 N.A. N.A.

 (出所:GTキャピタル年次報告書や事業報告書より作成、総資産や株主資本は年末値または四半期末値値)

 TMPCは、1988年にトヨタ自動車のフィリピン車両製造/販売拠点として設立され、1989年から生産/販売を開始した。現行資本金は約24億ペソ(約58億円)、出資比率はトヨタ自動車34%、 三井物産15%、メトロバンク・グループ(GTCAP)51%となっている(GTキャピタルの2016年第1四半期事業報告書などより)。