比トヨタ、第1四半期純利益17.5%増の28億ペソ
2016/05/18
粗利率17.4%(前年同期16.1%)と更に上昇
15年の年間最高益102億ペソ更新期
当地第2位(総資産ベース)の商業銀行であるメトロポリタンバンク&トラスト(メトロバンク)グループの持株会社GTキャピタル・ホールディングス(GTCAP)がトヨタ車事業を強化してきている。
GTCAPは、トヨタ自動車のフィリピン拠点であるトヨタモーター・フィリピン(TMPC、所在地:ラグナ州サンタロサ市)の株式保有比率を51%に高めているほか、有力販社であるトヨタ・マニラベイ社(TMBC)やトヨタ・クバオ社(TCI)のマジョリティーを保有している。さらに、2014年9月には、トヨタ・ファイナンシャル・サービス・フィリピン(TFSPC)株式40%を取得した。これらのトヨタ関連各社の業績が総じて好調に推移している。その中心であるTMPCの2016年第1四半期(1月~3月)の動向は以下のとおり。
TMPCの今第1四半期の販売台数(小売りベース)は前年同期比10%増の3万0,498台と高水準ながら、市場全体の伸び(22%)を下回る増加率であった。これは、人気車種であるSUV「フォーチュナー」とMUV「イノーバ」のフルモデルチェンジを控えての旧モデル買い控えという特殊要因によるものである。この結果今第1四半期の市場シェアは35.3%で2015年の38.9%から低下した。
したがって、今第1四半期の売上高は前年同期比7.3%増の262億ペソと一桁増収にとどまった。しかし、増収効果に加え、コスト節減効果もあって、帰属純利益は同17.5%増の28億ペソへと二桁増加した。。年間帰属純利益は2013年が前年比50%増の42億ペソ、14年が同71%増の72億ペソと連続で大幅増加した。そして、15年には同41%増の102億ペソへと急増、100億ペソの大台を突破したが、16年もその最高益を上回るペースとなっている。
なお、今第1四半期の粗利益率は17.4%で前年同期の16.1%から更に上昇、営業利益率も13.3%で同じく12.3%から一段の上昇となった。
トヨタモーター・フィリピン(TMPC)の業績推移(単位:百万ペソ、16年第1四半期は速報値)
2012年 | 2013年 | 2014年 | 2015年 | 16年第1四半期 | 伸び率 | |
売上高 | 72,560.0 | 80,676.6 | 104,886.9 | 114,346.2 | 26,200 | 7.3% |
粗利益 | 7,993.2 | 10,256.6 | 14,628.9 | 18,355.2 | N.A. | N.A. |
営業利益 | 3,718.2 | 5,719.1 | 9,859.1 | 13,898.9 | N.A. | N.A. |
帰属純利益 | 2,808.8 | 4,219.0 | 7,210.0 | 10,193.9 | 2,800 | 17.5% |
総資産 | 21,035.9 | 23,750.0 | 26,706.7 | 32,290.3 | N.A. | N.A. |
株主資本 | 8,053.2 | 9,285.9 | 11,927.0 | 15,229.4 | N.A. | N.A. |
(出所:GTキャピタル年次報告書や事業報告書より作成、総資産や株主資本は年末値または四半期末値値)
なお、TMPCは、1988年にトヨタ自動車のフィリピン車両製造/販売拠点として設立され、1989年から生産/販売を開始した。現行資本金は約24億ペソ(約58億円)、出資比率はトヨタ自動車34%、 三井物産15%、メトロバンク・グループ(GTCAP)51%となっている。従業員数は約2,000名に達している。
現在、サブ・コンパクト・セダン「ヴィオス」や中型多目的車(MPV)「イノーバ」を現地生産しているほか、各種乗用車、商用車の輸入販売、国内向け部品販売、部品輸出などを手掛けている。また、販社「レクサス・マニラ」を通じて、ハイブリッド車を含む各種レクサス車の輸入販売を行っている。2009年1月に開業した「レクサス・マニラ」は三井物産との合弁企業であり、TMPCの出資比率は75%、三井物産の出資比率が25%となっている(16年5月17日のGTキャピタル第1四半期事業報告書などより)。