サンミゲル、第1四半期の純利益2.2倍に
2016/05/13
135億ペソ、営業利益は38%増の228億ペソ
キリン出資SMBの純利益は23%増の40億ペソ
フィリピンを代表するコングロマリットとなったサンミゲル(SMC)が、5月12日に、2016年第1四半期(1月~3月)の決算速報を発表した。
SMCの今第1四半期の純収入は前年同期比1%増の1,596億ペソにとどまった。原油価格下落に伴い石油元売り最大手ぺトロンが同11%減収となったことが響いた。しかし、ぺトロンのコストも大幅低下したことで石油事業の採算が急改善したことや、その他の事業も総じて好調に推移したことなどで、全体の営業利益は同38%増の228億ペソ、EBITDA(税前・償却前・利払い前利益)は同40%増の315億ペソ、純利益は同122%増(約2.2倍)の135億ペソへと増加した。
キリン・ホールディングス(キリン)が約48.39%出資するサンミゲル・ブリュワリー(サンミゲル・ビール=SMB)の売上高は同23%増の233億ペソに達した。増収効果やコスト節減などにより営業利益は同17%増の61億ペソ、純利益は同23%増の40億ペソとなった。総選挙特需もあって、二桁増収増益決算となった。
ヒネブラ・サンミゲルが展開する洋酒部門の販売数量は同7%増の530万ケースへと回復した。売上高も同7%増の39億ペソ、増収効果やコスト節減などにより営業利益は同100%増(倍増)の1億8,800万ペソへと急増した。
サンミゲル・ピュアフーズによる食品部門の売上高は同4%増の260億ペソ、営業利益は同21%増の18億ペソ、純利益は同34%増の12億ペソに達した。付加価値の高いブランド製品が好調であったことや主原料の一つである豚肉価格が安定していたことなどで二桁増益となった。
パッケージ部門(サンミゲル山村パッケージング)も売上高が同12%増の58億ペソ、営業利益は同25%増の6億ペソと増収増益であった。特に、国内のガラス容器事業や豪州事業が好調であった。
多角化事業である電力関連事業の発電量は同16%増の4,457ギガワット時(Gwh)へ二桁増加となった。電力販売単価の低下で、純収入は同1%増の199億ペソにとどまったが、営業利益は同7%増の73億ペソへと増加した。サンミゲルの発電事業は、 2010年第3四半期から持ち株会社SMCグローバル・パワー・ホールディングスのもとに集約されている。現在リマイ発電所(150MW×2)やマリタ発電所(150MW×2)を建設中である。
石油製品部門(ペトロン)の販売数量は同9%増の2,530万バレルに達した。原材料コスト低下や高付加価値製品の売り上げ拡大などにより、営業利益は同94%増の58億ペソ、純利益は約11倍の28億ペソへと急回復した。また、2015年央のバタアン製油所の拡充・近代化プロジェクト完工も業績に寄与しつつある。
足許の業績は市況変動に大きく左右されてきているが、中期的には推進してきた精製能力増強や効率化、石油化学事業拡充による高付加価値化進展、買収したエッソのマレーシア石油川下事業のさらなる戦力化などにより、業績は上昇基調を辿ると見込んでいる。
インフラ事業担当のサンミゲル・ホールディングスの純収入は同16%増の47億ペソ、営業利益は同16%増の24億ペソと好調であった。カティクランのボラカイ空港拡張工事が完工、ニノイ・アキノ国際空港高速道路プロジェクト・フェーズⅡ建設における主要部分が今年第2四半期中に完工予定、スカイウエイ第3期事業(ルソン南北高速道路連結)建設も予定通りに進捗など事業拡大にも拍車がかかっている。
更なる多角化、事業基盤拡大の過程で有利子負債が膨張し、2016年3月末時点で5,000億ペソに達しているが、2015年末の5,150億ペソからは3%縮小している。負債残高は高水準であるが、現金残高も2,010億ペソと高水準。また、負債対自己資本比率は2.01倍(2015年末2.24倍)、有利子負債対自己資本比率は1.18倍(同1.34倍)、純負債対EBITDA比率は2.16倍(同2.61倍)と改善傾向にある(16年5月12日のフィリピン証券取引所回覧02705-2016号などより)。