三菱東京UFJ出資でセキュリティバンク一段と強固に
2016/05/03
自己資本比率(CAR)23.5%へ上昇、純資産40%増加
第1四半期の純利益は30億ペソ、ROE22%相当に
有力商業銀行であるセキュリティーバンク(SECB)が、5月2日、2016年第1四半期(1月~3月)の決算速報を発表した。
それによると、今第1四半期の報告純利益は前年同期比10.6%減の30億ペソとなった。ただし、前年同期には21億ペソの投資有価証券売却益という高水準の一時的利益が含まれている。これらの一時的利益を除いたコア純利益ベースでは大幅増益決算であったともいえる。また、30億ペソは依然高水準の利益であるし、年率換算の株主資本利益率(ROE)も22%と高水準である。
今第1四半期の主力の融資業務による純金利収入は同21%増の35億ペソに達した。純利鞘率は3.09%で前年同期の3.25%を下回ったが良好な水準である。3月末の融資残高は前年同期末比20%増の2,390億ペソ、一方、受け入れ預金残高は同14%増の2,820億ペソ、預貸比率は85%となった。また、総資産は同26%増の5,160億ペソに達した。
財務諸比率は良好である。3月末の不良債権(NPL)比率は 029%と業界最低水準。NPL貸倒れ引当率は171%と非常に高水準。バーゼルⅢ基準の自己資本比率(CAR)は14.96%で、中央銀行の最低基準10%をかなり上回っている。また、普通株式中核自己資本比率(CET1)も12.1%で、中央銀行の最低基準8.5%を大幅に上回っている。
このように、SECBは収益力の高さ、財務内容の良好さでは業界トップクラスにあるが、総資産や店舗数など規模においては、2番手グループに位置している。最近は、財務内容の良好さをなるべく維持しながら、店舗数やATM台数など規模の面でも高い成長を目指している。
既報のとおり、三菱東京UFJ銀行(BTMU)が、4月1日、このSECBへの20%出資(総出資額は約369億4,300万ペソ)を完了した。これにより、SECBはBTMUの分法適用会社となった。また、BTMUは、Dyファミリーに次ぐ第2位の株主となった。BTMUにとっては、アジアでは、2013年のタイのアユタヤ銀行買収に次ぐ大型投資案件となった。
BTMUの出資完了時点で、単純計算では、SECBの自己資本比率(CAR)は23.5%へ、普通株式中核自己資本比率(CET1)は20.7%へと上昇したことになる。また、1株当たり純資産も2015年末の88.17ペソから123.29ペソへと40%上昇したことになる(16年5月2日のフィリピン証券取引所回覧02402-2016号より)。