比コンビニ業界、セブン・イレブンが収益でも断トツ
2016/04/25
商品売上高224億ペソでミニストップ55億ペソの4倍
税前利益15億ペソ、ミニストップ1,500万ペソの赤字
15年末店舗数1602、ミニストップ519、ファミマ120
フィリピンでもコンビニエンス・ストアが普及期を迎え、マニラ首都圏中心に競争が激化しつつある。現在は業界断トツのセブンイレブンをマーキュリー・セルフサービスやミニストップが追うという構図になっている。そして、2013年にはファミリーマートとサークルKが進出、2015年3月にはローソンもフィリピン1号店をオープンした。
フィリピンのブランドコンビ二エンス・ストア店舗数とシェア
店名 | 2010年末 | 11年末 | 12年末 | 13年末 | 14年末 | 15年末 | 15年末シェア |
セブン・イレブン | 551 | 689 | 829 | 1,009 | 1,282 | 1,602 | 49.4% |
マーキュリー・セルフサービス | 287 | 345 | 606 | 680 | 700 | 816 | 25.2% |
ミニストップ | 332 | 327 | 337 | 386 | 454 | 519 | 16.0% |
サンミゲル・フードショップ | 13 | 25 | 60 | 63 | 49 | 86 | 2.6% |
ファミリーマート | - | - | - | 31 | 87 | 120 | 3.7% |
アルファマート | - | - | - | - | 23 | 81 | 2.5% |
サークルK | - | - | - | 2 | 3 | 4 | 0.1% |
ローソン | - | - | - | - | - | 13 | 0.4% |
合計 | 1,183 | 1,386 | 1,832 | 2,172 | 2,598 | 3,241 | 100% |
(出所:フィリピン・セブン年次報告書などより作成、ミニストップとファミリーマート店舗数は日本側発表値、ローソンは推定値)
首位のセブンイ レブンは、台湾系のプレジデント・チェーン・ストア(ラブアン)ホールディングスが51.561%を所有(2015年12月末現在)するフィリピン・セブン社 (PSC)によって運営されている。PSCは1982年11月に設立され、同年12月に米国テキサス州ダラスのサウスランド社(その後セブン・イレブン 社に社名変更)からフィリピンでのセブンイレブン運営ライセンスを獲得、1984年2月にケソン市エドサ通り沿いにオープンした。その後、店舗網拡充に注力、2013年末に1,000店の大台を突破、2015年末には1602店に達し、上表の様に、フィリピンでのブランド・コンビニエンスストア店舗数シェア約50%を誇っている。
PSCは、2016年にセブン・イレブン店舗数を400店純増(2015年は320店純増)させ、2016年末に2,000店体制とする方針である。したがって、2016年の設備投資額も前年比4割増の35億ペソと高水準となる見込みである。後続コンビニも追撃を図ろうとしているが、セブンイレブンの動きが早く、現時点では店舗数の差が拡大傾向にある。2016年も一段と拡大する可能性がある。また、店舗数だけでなく業績の格差も拡大しているようである。
先頃発表されたPSCの2015年(1月~12月)のグループ総売上高は前年比25.3%増の258億ペソ、商品売上高は同30.9%増の224億ペソ、税引前利益は同16.3%増の14億5,985万ペソ、純利益は同15.4%増の10億0,800万ペソに達した。増益率が増収率より低かったのは、ミンダナオ進出など地方でのネットワーク構築コストが嵩んだことなどによる
一方、フィリピンの純粋なコンビニエンスストア2位のミニストップ(マーキュリーは薬局併設)は、ロビンソンズ・コンビニエンス・ストアーズ(RCSI)によってフランチャイズ展開されている。RCSIは、三菱商事、ミ ニストップ株式会社、ゴコンウェイ・ファミリー傘下のロビンソンズ・リテール・ホールディングス(RRHI)グループとの共同事業である。2000年にRCSIとミニストップ本社との間でカントリー・フランチャイズ契約が正式締結され、200年12月にミニストップのフィリピン1号店がオープンした。RRHI は2013年11月11日にフィリピン証券取引所(PSE)に新規上場された。
4月14日に発表されたRRHIの2015年(1月~12月)の年次報告書などによると、フィリピンのミニストップのグループ総売上高は前年比18.6%増の79億6,100万ペソ、商品売上高は同19.0%増の54億9,385万ペソとなった。RRHIにおける売上高構成比は6%であった。増収は主に新規出店効果によってもたらされた。
粗利益率は9.6%で前年の9.4%から上昇、粗利益は同21.5%増の5億2,679万ペソに達した。しかし、販売費用が同36.9%増の17億9,952万ペソへと急増したことなどで、税引前損益は1,495万ペソの赤字となり、前年の7,905万ペソの黒字から悪化した。
このようにフィリピンにおいては、2015年も、業界首位のセブンイレブンが店舗増加数、増収率ともにミニストップを大幅に上回り、規模の面で格差を拡大させた。損益でも、税引前損益において、セブンイレブンの約14万6千ペソの黒字と、ミニストップの約1500万ペソの赤字と大きな差がついた。
2013年4月に1号店をオープンし、一時は3年間で500店という目標を掲げたファミリーマートも、2014年後半以降に出店ピッチにブレーキがかかった。そして、2016年第1四半期は店舗数が減少に転じ、2015年末の120店から、2016年3月末には104店へと減少した。2015年3月に初出店したローソンも2016年3月末で19店にとどまっている。当然のことながら、ファミリーマートもローソンも黒字化はかなり先のこととなりそうである。
したがって、現時点では、セブンイレブンが規模、収益双方で首位の座を強固にしているといえよう。
2015年の比セブンイレブンとミニストップ比較(単位:万ペソ)
項目 | 比セブンイレブン | 比ミニストップ |
企業目名 | PSC | RCSI |
年末店舗数 | 1,602店 | 519店 |
(ルソン店舗数) | (1,391店) | (492店) |
(ビサヤ店舗数) | (179店) | (26店) |
(ミンダナオ店舗数) | (32店) | (1店) |
店舗数増加率 | 25% | 14% |
グループ全売上高 | 2,577,935 | 796,100 |
商品売上高 | 2,240,093 | 549,385 |
商品売上高増加率 | 30.9% | 19.0% |
税引前利益 | 145,985 | -1,495 |
前年税引前利益 | 125,527 | 7,905 |
15年の税引前損益変化率 | 16.3%増加 | 赤字転落 |
(出所フィリピンセブンとロビンソンズ・リテール年次報告書などより作成)