カジノ「ソレア」運営企業、15年は34億ペソの赤字

2016/04/18

ブルームベリー、前年41億ペソの黒字から急悪化

 

 フィリピン政府は、国家プロジェクトとして観光事業を強力に推進することを目的に、マ二ラ湾岸沿いに「マニラベイ・エンターテインメントシティー」を創設しつつある。そこでは、日本のユニバーサルエンターテインメント・グループを含む4グループのカジノ複合リゾート施設の開発が行われつつある。

 その4グループの一つが当地最大の港湾企業インターナショナル・コンテナ・ターミナル・サービシズ(ICTSI)の総帥エンリケ・ラソン氏傘下のブルームベリー・リゾーツ(ブルームベリー)である。このブルームベリーによる大型カジノ・リゾート「ソレア・リゾート&カジノ」(ソレア)は2013年3月に開業した。
 
 このブルームベリーが、4月15日に、2015年(1月~12月)の決算を発表した。それによると、2015年の収入は 前年比7%増の325億ペソ。そのうち、カジノ事業純収入は同5%増の180億ペソで純収入の94%を占めた。 2014年11月に、ソレアの新棟「スカイタワー」(312室)がオープンしたこともあって増収とはなったが、中国の景気鈍化もあって、期待されたほどの伸びには至っていない。

 一方、費用は同51%増の267億ペソと、増収率を大幅に上回る伸びとなった。新棟「スカイタワー」スタート費用、買収した韓国済州島の「T.H.E.ホテル&ベガスカジノ」の「済州サンホテル&カジノ」としての改装オープン費用などが嵩んだ。この結果、最終損益は33億7,500万ペソの赤字に転落、前年の40億7,100万ペソの黒字から急悪化した。ブルーンベリーの業績はほぼソレアの動向を反映している。すなわち、ソレアの足許の業績はかなり悪いといえる。

 ブルーンベリーは、新棟「スカイタワー」スタート費用、「済州サンホテル&カジノ」オープン費用など一時的損益を控除したコア損益ベースでは12%の増益、すなわち、実質12%増益であったと強調している。

 なお、2015年の設備投資額は前年比38%減の98億0,200万ペソにとどまった。新棟「スカイタワー」の建設が2014年に完了したことで大幅減少となった。98億0,200万ペソのうち32%に相当する29億ペソが「済州サンホテル&カジノ」の改装費用等に投じられた(16年4月15日のフィリピン証券取引所回覧01973-2015号などより)。


 なお、「マニラベイ・エンターテインメントシティー」における2番目のカジノリゾートは、2015年2月に正式開業した「シティ・オブ・ドリームス マニラ」(CODマニラ)である。CODマニラ運営企業であるメルコ・クラウン(フィリピン)リゾーツ(MCP)の2015年決算は、正式開業初年度ということもあって、91億ペソの赤字であった。