住友鉱出資のニッケル・アジア、15年は76%減益

2016/03/16

市況下落響く、鉱石出荷量は10%増の1,970万トン

 

 有力ニッケル鉱山会社であるニッケル・アジア・コーポレーション社(ナック社)が、3月15日に、2015年(1月~12月)の決算速報を発表した。



 それによると、2015年の鉱石出荷量は前年比10%増の1,970万トンへと増加した。2013年後半に商業生産を開始したミンダナオ島タガニート鉱山がフル稼働となったこと(2014年の平均稼働率は80%)が寄与した。ちなみに、2015年の出荷量のうち、タガニート鉱山からの出荷が39%、パラワン島のコーラルベイ・ニッケル・コーポレーション(CBNC)に隣接するリオ・ツバ鉱山からの出荷が33%を占めた。その他、ヒナツアン鉱山とカグディアナオ鉱山からも出荷が行われた。

 また、ニッケル有力産出国のインドネシアが、2014年年初に未加工の鉱石輸出禁止措置を発動したことも寄与した。このインドネシアによる鉱石輸出禁止措置の効果は、2014年第2四半期以降に顕在化、ナック社の2015年第一四半期の出荷量大幅増加(32%増)につながった。その効果もあって、年間累計でも二桁増加となった。

 しかしながら、中国やギリシャ問題などにともなう二ッケル市況急落により、2015年の営業収入は前年比38%減の154億ペソへと大幅減少となっ た。ちなみに、直接輸出分1,190万トンの1トン当たり平均出荷価格は22.64米ドルで、前年の45.10米 ドルから50%急落した。
 
 市況下落による大幅減収にともない、純利益は同72%減の30億4,479万ペソ、帰属純利益は同76%減の20億3,514万ペソと大幅減収減益決算となった。利子・税金・償却前利益(EBIITDA)は同59%減の65億1,000万ペソへと減少した。

 なお、ナック社は世界有数のニッケル資源国であるフィリピンにおいて、最大規模のニッケル鉱石生産を行う鉱山会社である。そして、住友金属鉱山の重要な戦略パートナーである。ナック社傘下には、CBNCへ出資するとともにニッケル鉱石を供給しているリオツバ・ニッケル・マイニング社がある。

 住友金属鉱山は2009年8月にナック社に資本参加した。2015年9月末時点で、100%子会社である住友金属鉱山フィリピン・ホールディングス (SMMPH)を通じて、ナック社株式約19.02%(個別株主名が明示されている分)を保有している。

 2015年6月5日開催の株主総会においては、マニュエル・サモラ氏(会長)、フィリップ・アン氏(副会長)、ジェラルド・ブリモ氏(社長)、久保田毅氏、藤村隆則氏ら9名の当年度取締役が選出されている(16年3月15日の証券取引所回覧06034-2016号などより)。