三菱東京UFJの比銀行出資、中央銀行承認

2016/03/02

セキュリティーバンク(SECB)の株式20%取得
SECBは最高益、262店、不良債権比率0.12%

 

 三菱東京UFJ銀行(BTMU)が、フィリピンの有力拡大商業銀行(ユニバーサルバンク)であるセキュリティーバンク(SECB)に出資する。

 この出資は、BTMUがSECBの普通株式約1億5,071万株を1株当たり245ペソで、優先株式2億株を1株当たり0.10ペソで取得する。これに より、BTMUはSECBに20%の出資を行うことになる。総出資額は約369億ペソとなる。SECBはBTMUの関連会社となり、BTMUはSECBの取締役のうち2名を占めることになる。BTMUにとっては、アジアでは、2013年のタイのアユタヤ銀行買収に次ぐ大型投資案件となる。

 このBTMUのSECBへの20%出資が、このほど、フィリピン中央銀行によって承認された。

 なお SECBは、2月10日、2015年(1月~12月)の決算速報を発表した。それによると、2015年の純利益は前年比7%増の77億ペソに達し、過去最高益を更新した。主力の融資による純金利収入が同11%増の124億ペソと堅調、非金利収入も同16%増の65億ペソと好調であったことなどが最高益更新につながった。そして、株主資本利益率(ROE)は15.2%と依然高水準であった。

 2015年末の受け入れ預金残高は前年末比17%増の2,900億ペソへと増加した。一方、融資残高は同24%増の2,400億ペソ、総資産は同34% 増の5,320億ペソ、株主資本は同14%増の532億ペソへと二桁増加した。
 
 財務諸比率も良好である。2015年末の不良債権(NPL)比率は 0.14%で前年末の0.28%からさらに低下、業界最低水準を維持している。一方、NPL貸倒れ引当率は205%に達し、業界最高水準となっている。 バーゼルⅢ基準の自己資本比率(CAR)は15.2%で、中央銀行の最低基準10%を大幅に上回っている。また、普通株式中核自己資本比率(CET1)も 12.2%で、中央銀行の最低基準8.5%を大幅に上回っている。

 このように、セキュリティーバンクは収益力の高さ、財務内容の良好さでは業界トップクラスにあるが、総資産や店舗数など規模においては、2番手グループに位置している。最近は、財務内容の良好さをなるべく維持しながら、店舗数やATM台数など規模の面でも高い成長を目指している。2015年末の総店舗数 は262店、ATM設置台数は555台となっている
(16年3月2日のフィリピン証券取引所回覧00985-2016号などより)。